1-4


 俗に第二次モントレー戦争と呼ばれる、EoEに対する地球国家の優位を決定づけた戦争。

 この戦争における国連軍の勝利以降、EoEは実質的に地球国家による占領状態となり、武力や資本といったあらゆる資源が地球側から投入されることになった。

 地球とEoEをつなぐ通り道である【ゲート66】、そのEoE側の終点であるベイカーズフィールド基地を中心に、地球出身の軍人や資本家、ホワイトカラーなどが次々と移住していったが、程なくして彼らを狙った【トーガス・ヴァレー】をはじめとするテロリストによる事件が続出した。

 地球側はこの事態を受けて、EoE内でのテロ組織の掃討を名目とした、独自の多国籍軍事部隊を派遣するに至った。

 特殊部隊、通称【サイラス】である。

 現在この部隊には、各国からの精鋭が五千名ほど所属し、総面積約四十万平方キロメートルのEoE内に敷かれた約七十の基地に配属されている。

その部隊が運営する最新鋭の第七世代型GOW、【アーロン・トラスク】の操縦を任されているのが、地球の日本国に籍を置きながら【サイラス】の特別士官として活動する烏丸ケイイチ特尉だった。

 本来なら地球で学業に専念している年頃の彼は、【アーロン】を操縦できる適合者という理由から、この異世界で軍事活動を行っていた。


  ◆  ◆  ◆


 西へと次々に逃れる民の絵。

 相棒の大男を撃ち殺す小男の絵。

 息子とその恋人に遺言を伝える、死の床についた父親の絵。


 ケイイチには、これらの絵にいかほどの寓意がこめられているかはよく知らない。

 しかし彼が今駐留しているこのピックスレー基地を含む《サイラス》の各基地には、補給基地も含めたすべての場所にこの絵が飾られている。

 それらの絵が飾られていることで、基地内のロビーは地球内にある軍隊基地とは大きく異なる印象を兵士たちに与えていた。基地というよりは、どこか大学内のキャンパスのようにさえ見えるのだ。

 そして同じくこれらの絵が飾られている地下一階の食堂の柱の隣に、彼は今座していた。


「逆に考えようぜ、今回そいつを捕まえたことで、テロ対策にも国連からの出費が増えるかもしんねぇ」

「どうかな……連中は基本ケチだし、が【アーロン】のデータ収集の邪魔になるっつって、頑なに支援を断るかも」

 向かいのテーブルにいながら自分の肩をポンポンと叩いて元気づけてくれた戦友、パスカルに、ケイイチは懸念を口に出しつつも笑顔を浮かべた。

 パスカル・コリンズは、彼が【アーロン】のパイロットになった時以来親しくしている戦友だ。書類上戦場経験のほとんどない年少ながら最新鋭の機体の適合者として選ばれた彼に、大半の軍人はあまり良い印象を持たないでいた。そんな時に色眼鏡で見ることなく、彼の友達になってくれたのが、GOW部隊の少尉であるパスカルだったのだ。

「何よりあの場で【アーロン】に傷を付けるレベルのテロリストに会ったってことは……これからも、同じような強敵に出会うってことだ」

「考えすぎだろー、むしろそこまで追いつめても倒せなかったんだから、あいつらだって及び腰になるさ。そこを俺たちが片づけていけば、テロリストも今ほどでかい顔はしないってーの」

 パスカルの気休めの言葉にも気が晴れることはなく、結局任務中一度も口につけることのなかった一パイント瓶を手に持ち、新しく入れ替えた麦茶を飲みながらケイイチは思案にふける。そのときふと、付近にルピナスの香りが漂った。かつてない強敵に出会ったせいか戦場から帰っても弛緩することがなかった彼の神経は、その香りによってようやく完全に緩まった。


「おかえりなさい、ケイイチくん」

「……あぁ、ただいま」

 白衣をみにつけた、年相応の初々しさを見せる少女。

 彼女―――唯・エルンストは、【サイラス】の衛生課と提携しているPKO団体・ピンカム財団のメンバーである。ケイイチの幼少時、共に遊んでいた幼馴染で、入隊した際に偶然の再会を果たした。とある悲しい出来事によって急に終わりを迎えていた二人の共有する日々は、奇妙なことにこの地球から遠く離れた異世界で再び動き出すことになった。

「GOWのパイロットが暴れたって聞いたけど……無事でよかったです」

 ほんの少しではあるが、目をにじませて語る彼女に、ケイイチは罪悪感を感じずにはいられなかった。あの時最新鋭の機体による戦闘で、注意力が鈍っていたのは事実だ。

 「五体満足で帰ってこれたのは、正直かなり運が良かったと思う。ごめんな唯、心配かけて」

「ケイイチくんが使ってるGOWに傷がつけられたって話を聞いた時はもしかして、って不安になってたんです……傷が付けられただけで故障せずに帰ってきたんだから、操縦してる君も無事なはずなのにね」

 冗談っぽく言って見せる唯の顔は、少し目が緩んでいた。

「……火傷しそうだから、オレはどっか行った方がいいのかな?」

「おい、何を勘違いしてんだ。別に唯はただの友達だぞ」

(……自覚がないんでやんの。いや、お互い一歩踏み出せないだけか?)

 ケイイチと唯自身は聞かれても有耶無耶にしているが、二人にとって、お互いの存在は【サイラス】内で命の危険と隣り合わせの戦場で活動を行う何よりの理由になっている。未だにテロリストが多く活動するEoEでは、彼らが互いに共有する時間はこの上なく貴重なのだ。

「でもちょっと、安心もしてるんです。アリスちゃんから、ケイイチくんが今回みたいな強い相手にも勝ったことはテロリストへのいい牽制になるし、今後はテロリストもおとなしくなる、って聞いて」

「いや、それが……俺には、そうも思えなくて―――」

「だからお前がそこで不安そうな顔見せちゃダメなんだって!」

 終始半笑いで聞いていたパスカルが、急に口をはさむ。

「それ以上お前が弱気だと、アンチ【アーロン】の連中ももっと声をでかくすっかもしれねぇぞ」

実際にこの食堂でも何度か冷たい視線に出くわすが、ピックスレー基地付近一帯の戦果を事実上独占してしまっているケイイチと【アーロン】に、【サイラス】の兵卒たちは往々にしてあまり良い顔をしてくれない。【アーロン】一機による活躍はそれだけ彼ら兵卒たちの命の安全が保障されるということでもあるのだが、彼らが連想するのはむしろ【アーロン】の搭乗による自分たちの権限の縮小と、戦場での活躍の場を失うこと自体の不安だ。内なる暴力衝動を戦場で満たしたいと考える人間も少なくない兵卒たちにとって、【アーロン】が単騎で戦場の勝利を約束していると状態は偽善でしかないのだ。

 尤も、烏丸ケイイチ特尉はまだ十九で、少年から青年への成長を始めて間もない年ごろだ。彼は元々人見知りが強い方だし、赤の他人の感情を推しはかれるほどコミュニケーションに優れているわけでもないので、或る程度の図太い行動ができている。


「そんなに不安ならよ、一回が収監されてるところ見に行ったらいいじゃんか。確かついこないだ留置場に入れられたところなんだろ?」

「実は、元からそのつもりだった。いくつか確かめたいことがあるんだ、行こう」

「付き合うぜ、何かあってお坊ちゃんに厄介ごとが舞い込んだら一大事だからな」

 パスカルのからかい半笑いで受け流しながらトレイを持って立ち上がったケイイチの横で、ほぼ同時に唯も立ち上がった。

「ちょっといいですか?」

 彼女の声に振り向いた彼は、その時点であまりいい顔をしていなかった。

「それなら、私も同行させてください」

 しばらくの間が、三人の間の空気に漂った。

 唯の衣服のどの箇所にも、コンバットナイフや拳銃などの歩兵用装備が装備されていないことを確認する。

「……やめとけ」

 そして、あえて突き放すように彼女に言った。たとえ収監されているとしても、人殺しをいとわない人間の場所に彼女を近づけるわけにはいかない。


「それがそうもいかなくって……彼の点滴、明日から私が管理させてもらうんです」


 思わず、目を点にするケイイチ。自分を殺しかけた少年の体調管理を、幼少時代以来の親友である少女が担っているという事実を聞き、彼の中で驚愕や不安といった感情が沸き起こった。

「ちょっと待て、君はあの少年がどんなやつかってのをちゃんと知ってるのか!?」

 ほぼ反射的に彼女の右肩をつかんで言った。その後で、冷静じゃなさすぎるとケイイチは自嘲した。彼の荒げた声を聴いた兵士たちが、あまり芳しくない表情で三人を見る。

 ただただ、幼なじみの彼女に危険が及ぶことを避けたかった。そう考えて彼がどういう人間かを説明する前に、彼女から反論が来た。

「ちゃんと上の許可はとってありますし、私が彼と面会するのはあくまで、点滴を行う約十分の間です。それに少年は炭素繊維のロープで拘束されて身動きが取れない状態だって聞いてます」

「しかし……万が一の状況を考えるとやはり君をあの場には……」

 歯切れが悪くなっている自分の言葉に、ケイイチはこの場の劣勢を感じざるを得なかった。

にいる人たちを理解することが、今私がここにいる理由でもありますから」

 その言葉に、ケイイチは黙らざるを得なかった。その沈黙の中には、理解と諦念が半々ずつ込められていた。

 いつ何時も柔和な表情を崩さず、温厚な性格に見える彼女は、こう見えて頑固な性格の持ち主だった。

 でないと十四歳で飛び級で大学に入学し、医学の基礎を学んだうえで、【サイラス】と提携した国際NGOの奨学金で恵まれない人々のために異世界へ渡航しようなどという発想は出ないだろう。再会した時身に着けていた丁寧な口調も、彼女の勝気な中身を隠すためなのではないかと思わされる時さえある。


「……じゃあ、一緒に行こう」

 彼女の発言を聞いたケイイチは、半ばあきらめたうえで三人での視察を認めた。

 後ろでパスカルがにやけていることには、気づかないふりをするしかなかった。


 ◆ ◆ ◆

 

 ピックスレー駐屯地の西棟には、戦闘によって捕縛されたテロリストたちを一時的に収監する留置場が設置されている。

 そして特に危険人物と指定された者たちは、政治犯という体で他の囚人たちとは区別されて収監されている。その中には、そしてテロリズムや衝動的な暴行などの罪で捕らえられたEoEの住人たちがいた。

「三〇五……ここだな」

 カビ臭さが漂う廊下の中で響く足音の空しさにも構わず歩みを進めていると、部屋の隅にようやく目当ての少年がいる番号の独房を見つけた。

 鉄格子の奥には、炭素繊維製の針金によって縛り付けられ、手足の指一本も動かせずに捕縛されている少年がいた。年端も行かない子供へ相手に残酷すぎる、などという甘い言葉は通用しない。その年端も行かない子供が、つい先日軍のエースパイロットを殺しかけたのだから。

「あいつも、【トーガス・ヴァレー】のメンバーなのかな?」

「いいえ、それが―――」

 発言を急に止めた唯を訝しんだケイイチは、直後に唯の表情が恐怖に染まっていることを理解した。

 視線を追ってやっと、彼は彼女の恐怖の理由を理解できた。


 眼光。

 鉄格子の奥にあったのは、あの時砂漠でコンバットナイフで切りかかってきた時と同じ、こちらを確実に殺す意図を持ってこちらをにらみつける少年の目だった。口をマスクで覆われ、起立した姿勢のまま手足を堅く縛られた状態にもかかわらずだ。

 補給基地の地下に用意されたこの独房は、何重にも暗号化されたネットワークを利用した施錠システムによって、逃亡犯を絶対に逃さないシステムが成立している。ケイイチを襲撃した少年はその独房でも最も警備が厳重な空間の一つに、炭素繊維のロープによって幾重にも縛り付けられ、拘束されている。

 まして今の少年には、武器となるGOWは持っていない。GOWを離れてから使用したコンバットナイフもワイヤーも、すべて拘束時に没収されている。今後どのような不確定要素があったとしても、この少年が再びテロリストとなって自分たちに牙をむく可能性は皆無に近い。

 だが、この瞳は何だ。まるで、今すぐにでもこの場にいる全員を殺せるとでも言わんばかりだ。本当に手足を使わずに、殺気だけで殺してしまうのではないかとすら思える。


「お前……」

気がつくとケイイチは、警備兵を通り越して独房に入り込み、少年の前に立っていた。


「その目でお前は……俺に襲い掛かってきたわけだな。第三世代のGOWで【アーロン】を襲った時も、【アーロン】のハッチを、ガジェットでこじ開けようと……した時も」

 聞こえていないかのように、少年は微動だにしない。目を開けているだけで意識がないのではないかという疑念すら感じたためか、ケイイチの言葉は焦点を見失い、少し途切れる。

 妙な前置きに意味はないと理解したケイイチは、少年の眼光を真正面から受け止めつつ詰め寄った。

「お前――どこで訓練を受けたんだ?」

 パスカル、唯、警備兵、質問をしたケイイチ自身、その誰もがこの場で沈黙の中に立ち尽くしていた。そして目の前の少年も―――

 否。

 目の前の少年は、沈黙すらしていなかった。

 こちらが質問を投げかけた前と後で、彼の刺し殺すような目線は全く変化していない。この少年は沈黙以前に、そもそもこちらの話を聞いていないのだ。おそらく彼にとっては、眼前の青年――――の質問に答える意味も聞く意味もないからだ。

 ただ食い殺すような視線だけをこちらに向けるだけで、それ以外の部位はまるで蝋人形のように気配を最小限にまで抑える少年。困惑とも緊張とも取れないため息をつきながら、あきらめたようにケイイチは目を逸らした。その様子にパスカルが苦笑する。

「やっぱこいつ【トーガス】のメンバーなんじゃないのか、食う、寝る、殺すって感じがあの新興宗教カルト連中とそっくりだぜ」

「……いや」

 自身の中にあった疑念を確証に変えるように、ケイイチはパスカルの言葉を否定した。

「こいつはたぶん……テロリスト集団のメンバーとは違う」

 ここ数ヶ月、都市部付近で破壊活動を行っているテロリスト集団の【トーガス・ヴァレー】。闇ルートからの購入、あるいはジャンクパーツを寄せ集めて造ったGOWを使用し、主に補給基地などを狙って襲撃を行っている。単なる反政府テロ組織かと思いきや、裏にカルト宗教の存在があるらしく、戦闘時の自爆によって政府側にもすでに何人もの犠牲者が出ている。今回の【アーロン】の出撃も、戦術データの採集の他に、エリートと最新鋭の機体の投入によるテロリストへの威嚇の意味も含まれていた。

 彼ら【トーガス・ヴァレー】とは、あの少年は本質的に違う。

 無鉄砲さは同じだが、少年のそれは命を犠牲にするが故の無鉄砲さではない。

囚われながらもこちらを真っすぐ見つめてくる彼の目を見て、あの少年が組織の目的の為でなく、自分が生き抜くために戦っていることがわかった。

 相手を確実に倒しつつ、自らも生き残る戦法。

 だとすれば彼の戦術理念は【トーガス・ヴァレー】のテロリストたちが見せる、組織の勝利のために自分自身の命を犠牲にする戦法とは真逆だ。

だが、ならばなぜあの時あのアジトにこの少年がいたんだ?

どういう経緯で、あの時あの場で【サリソー】を動かしてたんだ?

そもそも―――こいつは本当に、【トーガス・ヴァレー】のメンバーなのか?

 そもそも【アーロン】のメインOSに搭載されたセキュリティシステムをいとも容易く突破できるハッキング性能のガジェットなど、今まで【トーガス・ヴァレー】を仕留めたときには回収されたりしなかった。それをこの少年が【アーロン】のコックピットハッチを開けるときに使用したということは、別の勢力が関係している他ならぬ証拠ではないのか。いやしかし、それだとあの部隊の中にただ一人で混ざっていたことの説明もつかない。別の勢力が関連しているとして、より多くの部隊を派遣して【トーガス・ヴァレー】に加勢するのが得策ではないのか―――

 単なる一回のテロ組織の一人の構成員に過ぎない少年のはずなのに、戦いが終わってからもケイイチはこの少年のことを延々と考え続けている。そのことにふと客観的になった彼は、言いようのない戸惑いを覚えていた。

 自分を殺しかけたからか? しかし自分を殺しかけたテロリストなら彼以外にも大勢知っている。たとえGOWでの戦力差が歴然であっても、機体越しに自分に向けられた殺意に気圧されたことは少なくない。

 こいつの何が、自分の調子をここまで狂わせるのか。彼のことを考えている中で、彼は堂々巡りの渦の中に巻き込まれるような感覚に陥っていた。

「何とか答えろよ……なんで捨て台詞の一つすら言おうとしないんだ」

 焦燥感を煽る少年の沈黙に、思わずケイイチは詰め寄っていた。静かに感情的になっていく彼を前にしても、少年は口も目も微動だにしなかった。視線の殺気が同じとはいえ、すさまじいスピードでナイフをこちらに向けてきた人間と同一人物だとは、とても思えなかった。

「……俺をバカにしてるのか!?」

胸倉をつかむようにケイイチが鉄柵にしがみついて声を荒げ始めた、その時だった。

「ケイイチ……あの、落ち着いてください」

 戦場からかけ離れたような平和な声音が、彼の耳に届いた。

「ケイイチくんまで、そんな怖い顔になることないじゃないですか……」

「……そうだな……ごめん」

 自分を我に返らせた唯の言葉と存在に、ケイイチは一歩身を引いた。

「少し、冷静になりましょう? 彼だって……ケイイチくんと変わらない、青年のはずですよ」

 彼女の発言は、戦場での殺すか殺されるかのルールを知らない、世間知らずなものでしかない。敵と味方の戦いに、子供も大人も関係ない。小学生ほどの少年少女が、テロ活動に命を捧げたケースなど戦後の十五年間でいくらでもある。ケイイチ以外の兵士であれば彼女の発言は一笑に付すところだし、実際にすぐそばにいたパスカルはあからさまに表情にこそ出さないものの、気づかれない程度のため息をついていた。

 しかしその場違いな意見が、かえってケイイチの意識を囚人の少年から引き戻すことになった。戦場から帰ってきたばかりの彼が今身を置くべきは、この少年のいる場所ではない。命のやり取りではなく唯やパスカルがいる、平凡な日常なのだ。

「……そうだな。こいつはもう少し、様子を見るか」

 パスカルに肩を叩かれたケイイチは、まだ抑えきれない動揺をなんとか胸の中にしまい込みながら、少年から目を離した。

「いずれ洗いざらい解明させてもらうからな。お前が何者かも、なぜあのレベルの戦闘力をもっていたのかも」

「もういいだろって……」

 やや歯切れの悪い啖呵をパスカルに諫められつつ、ケイイチは少し前に来た道を引き返していった。

 その時点では、彼らも、その場を見張っていた警備兵すらも気づかなかった。

 少年の視線が、少しだけ動いたことに。

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