重厚かつ緻密に構築された世界。

本作は、剣と魔法の世界だが、夢や希望の象徴として剣と魔法があるわけではなく、それらは、人類が黒い霧の災厄を乗り越えて生き残るために必要な道具にすぎないものだとして描かれているように感じた。それは何故か。
夢や希望の象徴を他に見たからである。それが主人公だ。彼は頑強である。だが、彼も人の子であることに変わりはない。当然ながら命を懸けて戦う中で葛藤しないわけがないのである。けれども彼は前に進み続けるのだ。その姿が見えるようで胸が熱くなる。読者の皆様には彼がどのように生き残っていくのかを見てもらいたい。わたしはそのように考えている。

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