第16話

静寂。

 目覚まし時計が、コチコチと音をたてている。

 どこか遠くで、盆踊りの音楽が聞こえる。

「そんなに簡単だったら、いいんだけどな」


 そうだ。

 だから僕は北澤に会うのだ。

 北澤は、遊園地だ。自分で見つけられない僕は、この場所に来て、楽しむ。

 自分が失った物や忘れた物や取り返せない物を、求めて。

 遊園地にはいつまでだっていたい。

 でも、日常に戻らなければいけないのだ。

 できればずっと、北澤と一緒にいたい。

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