第36話 そうだよな、日本にはカワウソがいたんだ、オオカミだって。



たとえば私が個人的に好んでいる妖怪の世界には、


昔の人間が想像もつかないような「生き物」を、


想像がつかないから「妖怪」だと言っている節がある。




アカエイも巨大になれば妖怪だし、当然カワウソやらオオカミも妖怪だった。




この前見たTVだと、

野衾(のぶすま)ってーのはムササビやらモモンガの総称らしい。




人間はともすると、自分の想像以上のものが出現したときに、

手っ取り早くそれは妖怪だ、って言っちゃうもんだったって言うのは、

私が妖怪たちに興味を持ったときに、ざっと流れ込んできたうちの、

知識のひとつだった。




ツツガムシという名を聴いたことがあるだろうか。


これも私が初めて目にしたのは、昆虫図鑑などではなく、妖怪図鑑だった。


今でこそツツガムシ病と言う感染症が「科学」「医学」で明らかになっているが、


昔は原因がわからず、とりあえず妖怪のせいにしておこうとされた。




で、ちょっとズレるんだけどね。




今からちょっとだけ昔のお話。


そこにはオオカミもいたしカワウソもいた。


でも絶滅した、人間たちの身勝手な欲望によって。




人間って言うのはどうしようもないから、


目先の利益のためなら動物「なんて」どうなろうとかまわない、


って言う、これまた身勝手な理由を、


大声で叫んでいるどうしようもない「一部の」人間によって、


やれ毛皮目的とか、自分の畑に侵入してくる「敵」だとかで皆殺しにした。




ちょうどその頃って、

まだテレビでは心霊モノが夏の昼間の空気を凍らせていたような時代。




多数のどうしようもない人間に、

少数のこのままじゃダメなんだって言う人間が負けてたんだね。


そしてオオカミは衰退し絶滅し、カワウソも99%絶滅。


人間は人間だけじゃ生きられないのに。


壁に張り付く効果も、新幹線の構造の一部も、空を飛ぶことも、

みんな動物から教えられたのに。




どうして人間ってこんなに阿呆なのだろう、と、同じ人間が言ってみますよ。

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