第3話

警官は民家の前で足を止めた。


窓のところまで行くと、家の中を見た。


その家の電気は点いていなかった。


今は午前二時だ。


普通の人は寝ている。


家を覗き込んでいた警官だが、住民を起こすのはさすがにまずいと思ったのか、戻ってきた。


「おかしいなあ。誰もいないぞ」


ドアを閉めると、また聞こえた。


「はら……へった」


再び顔を見合わせた。


俺にはどう聞いても車の中から聞こえているようにしか思えなかった。


警官もそうなのだろう。


目を見開いて俺を凝視している。


するとまた聞こえた。


「はら……へった」


警官が言った。


「だっ、誰だ!」


周りを見渡し、再び後部座席を見た。


「おかしいなあ」


その時、警官を見ていた俺は気付いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る