第15話 爆裂銀狼野郎

数々の熱い闘いを見せてくれたアトラス大陸『ヘラクレス大会』から一夜明け、

リュードは昨夜の試合をDVDに収めたものを主催側から頂き、

アトラス大陸の首都『ヘラクレス』を後にした。


特にゼノスやルスランと会って会話をすることもなく、足早に街を出ていくリュード。どこへ行くのであろうか?


首都『ヘラクレス』を東へと向かうリュード。広大な草原を越えると生い茂った森林が見えてきた。リュードはその森林も慣れた足取りで抜けるとその先には森林を越えた体力では登るのも困難な山岳地帯が待ち構えていた。まるで侵入者を追い返すかのように・・

しかしリュードは変わらず慣れた足取りでその山岳を、なんと走って登って行った。

さすが優勝を目指す者だけあって、体力は万全のようだ。


そして、ヘラクレスを出てから6時間。

ようやく山岳地帯の奥へと着いたリュード。

目の前には谷を繋ぐ大きな架け橋がかかっていて、リュードはその橋を渡ると、

その先にはこの先を守るかのように鎧を身に纏った門番らしき2人の男が山道の両端に立っていた。


リュードは片手を上げ、門番に声をかける。


「どうも、リュードです。ご無沙汰してます」


本来なら門番は「なに奴だ!?」となるところだが、門番はリュードと面識があるらしく、すんなりと通してくれた。


リュードは立ち止まり、門番に声をかける。

「アイツいます?」

「ああ、いるよ。久々にリュードさんが来てくれたこと知ったら喜ぶと思うよ。顔を見せてあげな」


アイツとは誰のことだろうか?

しかし、門番には『アイツ』と言うだけでそれが誰なのか伝わるようだ。


リュードはそのまま奥へと入っていく。

するとそこには山岳地帯に囲まれた小さな村があり、リュードは村のみんなに笑顔で挨拶しながら村の中へと入って来た。

村のみんなもリュードの久しぶりの訪問に笑顔で温かく迎えてくれた。


そして、村のみんなに一通り挨拶を終えると、リュードは村の奥にある一角の家を訪ねた。


コンコン


リュードはドアをノックする。


・・・・・しかし、応答がない。


「・・・(あれ?いないのか?)」


コンコン!


リュードはもう一度今度は強めにノックした。


・・・・・・ガチャ


ゆっくりと家のドアが開き、出てきたのはアトラス大陸特有の銀色の髪を短髪に立たせ、眼鏡をかけた一人の男だった。


「おう!ラーク!久しぶり!」

リュードは家から出てきた男に声をかける。

「リュード・・・か?」

「そうだよ。どうしたお前、眼鏡なんかかけて、ずいぶんと落ち着いた感じになったな?」


ラークという男は以前は眼鏡をかけておらず、もっと活発な男だったが・・・


「仕方ねぇだろ。ずっと勉強してたからな」

「勉強か・・・そうだよな・・・。『航宙艦技師』になるんだっけ?」


航宙艦技師・・・リュード達が住む世界で限られた国でしか、現在宇宙へ出る術がなく、それは航宙艦と呼ばれる宇宙探査の船である。ラークという男は、そんな宇宙を旅する航宙艦の船員かつ船を整備する航宙艦技師になるため、日々勉強をしていたのだ。


以前はリュードよりも活発で頭を使うより、体で行動する元気いっぱいの青年だったが、今はすっかり勉強に打ち込んでおり、落ち着いた風貌がうかがえる。

しかし、勉強とはほぼ無縁の彼が、何故ここまで目を悪くしてまで航宙艦技師を目指しているのだろうか・・・?


名前『ラーク・スカイ・ラビュリントス』

年齢 30

身長 183

体重 78

使用武器  槍斧

備考・・銀髪を短めにカットし、ツンツンにハネ上がらせた髪型が特徴の長身の漢。

かつて、リュードやレイミたちと共に広大な宇宙を旅した戦友であり、

大きな槍斧を軽々と振り回し、巨大なドラゴンの攻撃をパワーで圧倒して槍斧で弾き返し、エアルを使った様々な技を巧みに使って戦場を暴れまわる『爆裂銀狼野郎』の異名を取るメンバー随一の暴れん坊だった漢(おとこ)だ。

昨日、スターズと相対したルスランとは同じ村の出身で、幼き頃からの友人でもある。

かつて暴れん坊だった彼の面影はなりを潜め、今ではすっかり勉強家になっていた。

それはかつて、一緒に闘った仲間との約束を果たすためだった。

ラークには将来を約束した女性がいるのだ。

しかし、その女性は地球人ではなく、『ターミナル』と呼ばれている惑星(ほし)の人間であり、かつて惑星『アスガルド』で最後の闘いを終えた後、

再び会えることを約束し、二人は一度それぞれの星へと帰ったのだ。

ラークが航宙艦技師になりたい理由は他でもない、その女性に会いに行くためだった。

いや・・・会いに行くためではない、迎えに行くのだ。

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