第13話 激しい攻防②

真空の竜巻を身に纏いスターズが近づけない中、突進してくるルスラン


「ルスランやるなぁ・・4年前以上に技のキレが向上している」

リュードは4年間地球を離れていたのだが、その時以来の友人である彼を見て、その磨きのかかった技の冴えに歓喜の笑みを浮かべていた。


スターズはバックステップ、サイドステップといった軽やかなフットワークを駆使し、ルスランの攻撃を避け、


「地走拳(ちそうけん)」


距離を見てスターズは地を這う衝撃波をルスランに向かって放つ。


しかし、ルスランの作り出した竜巻はスターズの放った衝撃波をいとも簡単に弾き飛ばしてしまう。


「無駄だ!」

ルスランはスターズに突進してくる。


「・・・・・」

だが、スターズは至って焦る様子もなく、周囲を見渡し更に軽やかなフットワークで先ほどルスランが砕いた床へと移動した。


何をする気だろうか?


スターズは床に転がっている無数のコンクリートの破片を手に、こちらへと向かってくるルスランめがけて投げつけた。


「・・・うっ」


スターズの投げたコンクリートがルスランの周囲を取り囲んでいる竜巻に触れると木っ端微塵に砕け散り、破片がルスランへと飛び散ってきて、ルスランはたまらず後ずさりする。


スターズはその後も何発も何発もコンクリートを投げつけ、更なる破片がルスランの顔や目に入り、ルスランは防戦一方となってしまった・・


「・・・(さすがスターズ・・考えたな)」

リュードもスターズの臨機応変の対応を認めている。


・・しかし、そう思ったのもつかの間、


「絶破十字槍(ぜっぱじゅうじそう)!」

ルスランはエアルを纏った槍斧で目の前を十字に切るとルスランの周囲を包んでいた竜巻とコンクリートの破片が混じった粉塵が一瞬のうちに消え去った。


絶破十字槍とは北西の島国に伝わる剣技で、ルスランはその国の剣士から術技を直伝で受け継ぎ、自身の槍技へとアレンジした。

目の前の地面に十字の魔方陣を描き、目の前の物質を消滅させる恐ろしい技である。

リュードもかつてルスランからこの技の伝授を薦められたが、あまりの凶悪さに嫌悪し、辞退したのだ。


ルスランの身に纏っていた竜巻が消え、スターズは距離を詰め、再び左腕で槍斧を払いのけると

「肝突殺(かんとつさつ)」

スターズは再び前蹴りを放つ。

だが、そこにルスランの姿は無かった。観客の目にも「あれ?ルスランどこへ行ったんだ!?」というどよめきが・・・


「・・・」

しかし、リュード、ゼノス、そして実際に闘っているスターズはルスランの動きを目で追っており、ルスランは一瞬のうちに槍斧を棒高跳びのように反動を利用して上空へと飛び上がっていたのだ。

スターズは下から上目遣いでジッと睨んだようにルスランの動きを追っていた。

「はあァァァーーー・・・」

再びルスランはエアルを槍斧に集結させると、今度は槍斧の先端が鋭い氷塊に覆われ、ルスランは槍斧の先端をスターズに向けた。


「氷槍滅殺弓(ひょうそうめっさつきゅう)!!」

槍斧から放たれた氷塊の矢が凄いスピードでスターズ目掛けて一直線!

いくらなんでもそれはやりすぎなのではないか!?というようなルスランの奥義。直撃すれば命にかかわる致命傷だ。


スターズは避けるしかない!


・・・だが!

パシッ


「なっ・・!?」


なんとスターズは微動だにせず、猛スピードで飛んでくる氷塊を素手で受け止めてしまった!

目を疑うかのような光景に会場はどよめく。


そして受け止めた氷塊の矢を今度は空中にいるルスラン目掛けて投げ返した!


「ウオオオーーー!!」


バキィン!!


ルスランはスターズが投げつけてきた氷塊を持っていた槍斧で叩き割った!


果たしてどうなる!?この闘い!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る