第10話 果たして勝負の行方は・・・?②

両者共に滴る滝のような汗。


試合開始の掛け声とともに詰め寄る両者・・


「真空蹴(しんくうしゅう)!」

先に攻撃を仕掛けたのはミラルゴだった。


「・・こういう時も最初に攻撃するのはどうしてもミラルゴの方なんだよなぁ・・」

『ゼノス、お前が先に行けよ』と言わんばかりに歯がゆさをにじませるリュード。


しかし、ゼノスもミラルゴのミドルキックを受け流してローキックを返していく。


「百裂観音破(ひゃくれつかんのんは)!!」

またもやミラルゴの怒涛の攻撃が始まった!


「旋回脚(せんかいきゃく)」

しかしゼノスは相手のパンチの連打をよく見て避け、背後に回り、

「草刈り(くさかり)!」

草を刈るような鋭い右のローキックを放ち、

「真空蹴(しんくうしゅう)!」

すぐさま左足のミドルキックをミラルゴに放った!


「幻竜拳(げんりゅうけん)!」」

ミラルゴはゼノスとの距離を詰めようと右ストレートを放つが、


「旋回脚(せんかいきゃく)」

ゼノスはミラルゴに接近戦の連続攻撃を出されるのを嫌い、

すぐに軽やかなステップで回り込んで距離を取ってしまい・・

「地走拳・双破(ちそうけん・そうは)!!」

地を這う衝撃波の2連射がミラルゴの体を切り裂く!

ガードの上からだったが、真空の衝撃を受け、ミラルゴの両腕がカッターナイフで切ったように切り傷が出来ていた。


何とか本戦の時のような鋭い連打をゼノスに打ち込みたいミラルゴだが・・


実況席で解説をしているムツキ

「延長戦に入ってミラルゴ選手疲れましたね。さっきまでの本戦でミラルゴ選手の勝ちかな?と、私は思ったんですが・・後は両者の気力の勝負となりますよ」


「ハァ・・ハァ・・」

おびただしい量の汗がミラルゴの体から流れている。


「・・・(ミラルゴはスタミナも攻撃力も技のキレもあるけど、さすがに派手な連続技を何度も使っていたからな・・やはり疲労が延長戦になって来たか)」

リュードもミラルゴの疲労を感じていた。


「連弾撃(れんだんげき)!!」

しかし、それでもパンチの連打を打ってくるミラルゴ!

まさにあっぱれだ!


「旋回脚(せんかいきゃく)」

しかし、ゼノスはスルりと避けてしまう。


そして・・

「爆竜拳(ばくりゅうけん)!!死神の鎌(サイス)!!」

出た!ついにゼノスのパンチの神速連打!鋭い左右の6連続のパンチがミラルゴのガードの上から顔面に打ち込まれ、ガードが上がったところに死神の鎌の如く地獄へといざなうボディブローがミラルゴの脇腹に打ち込まれた!!


どうだろう?効いたか?


「百裂観音破(ひゃくれつかんのんは)!!」

・・・しかし、ミラルゴは倒れない!なんてタフなんだ!?


「旋回脚(せんかいきゃく)」

ミラルゴの思わぬ反撃に動揺しながらも距離を取って態勢を立て直し、自分と相手の距離をしっかりと見極めるゼノス。


激しい攻防に会場にいる全員が言葉を失い、両者の闘いに固唾を飲んで注目していた。


・・・・・そして!


ストーーーーーップ!!!


ついに5分間に渡る延長戦があっという間に終わり、再び勝負の行方は判定へと持ち込まれた。

両者共にダウンを喫することなく立ち続けた両雄に会場から盛大な拍手が送られた。


至高のスキルを存分に使い、最後は足を使ってスキルの高さを見せつけ、最後は怒涛のラッシュを見せた『ゼノス』

無尽蔵のスタミナとキレのある凄まじい連続攻撃、そして相手のラッシュに耐え抜くタフガイ『ミラルゴ』


もう判定なんてどうでも良いんじゃないか?どちらも世界大会に行かせてあげたい。

会場はそんな雰囲気だった・・・だが、

やはり世界大会に行けるのは勝者のみ。


判定が下される。


「ジャッジ一人目・・・ゼノス!!」

一人目はゼノス。

「ジャッジ二人目・・・ゼノス!!」

「ジャッジ三人目・・・ゼノス!!」

二人目も三人目もゼノスを支持し、リュードが優勝を目指す世界大会に同じく駒を進めたのはゼノスだった!


「最後頑張ったな。ゼノス」

リュードは会場の観客と共にゼノスを拍手で称えていて。


その様子をテレビで見ていたレイミも優しい笑みで拍手を送っていた。

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