第4話 リュードVS地元の強豪

7色のカクテル光線に照らされながら、会場の中心にある檀上へと上がるリュード。ついに練習試合が始まる。


ここで武術大会のルールを説明しておこう。


※試合は1対1で行われる

※試合はどちらかが倒れるまで続けるというのが基本だが、20分経っても勝負が決まらない場合、20分の間でVTRを見直し、5分刻みで採点を付け、どちらの選手が優勢だったかを3人の判定で勝者を決める

しかし、それでも両者甲乙がつけがたい互角と展開で、判定が割れなかった場合・・すなわち「ドロー」だった時は、5分間の延長戦が設けられることとなる。

※倒れた相手への攻撃は禁止

※投げ技はOKだが脳天から叩き落してはいけない(過去に露骨に対戦相手を頭から何度も叩きつける選手がいたが、それがバイオレンスとして、世界的に悪影響だと判断されたため禁止になった

※武器は銃以外ならどんな種類の武器を使っても良いが、事前に報告し、大会本部より支給された武器を使うこと(以前は自前の武器をみんな使っていたが、過去に死者が出ているため、なるべく安全も考慮した結果、ルールが改定された

※有効打で相手がダウンした場合、10カウント以内に立ち上がれなければKO負けとなる

※投げ技で叩きつけられて倒された場合、5カウント以内に立ち上がればダウンにはならない

※一度の試合に3回ダウンをした場合、ダメージの有無に限らず、KO負けとなる

※相手の攻撃によって出血し、あまりに出血の量が激しい場合、一時ストップをかけ、檀上下で待機しているヒーラー(回復呪文の使い手)による初歩呪文「ファーストヒール」を一回まで傷口にかけてもらうことが出来る

ファーストヒールをかけても出血が止まらない程傷口が広くて続行が危険な場合、そこで試合終了となり、傷を負った方の負傷負けとなる


以上が武術大会のルールである。


実況席には「マイケル」という実況担当と、以前武術大会の世界トーナメントに出場した経験を持つ「レオン ムツキ」が解説を務める。

余談だが、ムツキは現在は引退し、今日みたいな大会の解説や地元の道場で若手の育成を務めている剣術の達人である。


リュードの対戦相手は地元でも有名な格闘家「ロベルト ザギエル」


名前 『ロベルト・ザギエル』

備考・・地元アトラス大陸の猛者で、アトラス人の特徴でもある銀色の髪と、赤銅色をした体色が特徴のファイターだ。

がっしりとした体格から繰り出されるパンチは非常に重く、蹴りも鞭のようにしなやかで相手を徐々に圧力で追い詰めていき、自慢の怒涛のラッシュでKOを築き上げてきた、いわゆるパワーファイターだ。


練習試合とはいえ、そんな強豪相手にリュードはどうやって戦うのか・・・

リュードの体を見ると、武器らしき物は一切持っていない。

檀上下の実況席では実況のマイケルと解説のムツキがそのことでリュードについて話していた。


「いやームツキさん、ロベルト選手は本職が格闘家で、一方リュード選手は本職が剣士ですが、今日は素手で入場してくるということは、リュード選手は素手で打ち合うと見て良いのでしょうか?」

「そうですねー。リュードはその気だと思います。8か月後に迫った武術大会は素手で戦う格闘家が今年は多いので、おそらく今日はその練習と見て良いと思います」

どうやらリュードは8ヶ月後に向けて敢えて素手で勝負することを考えているらしい。

「でも相手はロベルト選手ですからね・・・だいぶ分が悪いと思うのですが・・・」

実況はロベルトの実力を知っているため、素手での勝負はロベルトに分があると見ているようだ。

・・・しかし

「いえ、それでもリュードは素手でやると思いますよ。最近の彼は充実していてスピードやキレが去年より格段に上がってますから」

ムツキはリュードと共に世界一トーナメントに出た経験もあるので、リュードの実力を買っているようだ。


檀上では気合の入った眼差しでリュードを睨みつけるロベルト。


「・・・」


リュードは敢えて目線を合わせようとせずに冷静に自分の闘いをしようと自分を落ち着かせているようだ。


そして間もなく試合が始まる。


妻のレイミもテレビ越しでリュードの闘いを見守る。


・・・・・レディーファイ!!!



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