第33話 『邪魔をしないで、私たちこれからいい所』

 連載途中にも関わらず前作につづいて短い話を突発的に書き上げました、ピクルズジンジャーです。こんにちは。


 前作『ミナミとシンシアの場合』は、初めて書いた(自分なりの)直球ど真ん中な青春百合だったのですが、同じ百合であっても本作はかなり妙ちきりんな話になっております。

 もともとはこういった変な話なので本来の芸風と言ってよいかと思うのですが、しかし実力に比して難しいネタに手を出してしまった気がしないでもない……。発表してからそんな思いにとらわれて、オロオロガタガタしております。ともあれ、発表してしまったものはもうしかたが無い。開き直るしかありません。


 なお本作も一応、ミナミとシンシア同様第二回百合文芸コンテストの方に出す予定なのですが、……うーん、どうしよう。コンテストにだすのならもっとブラッシュアップが必要な気が……。

 コンテストに出すことにしたら、予告した上で非公開処置にいたします。その時はご容赦ください。



 以下は裏話です。


【本作を書こうとした切っ掛けなど】

 百合系の日常漫画だと、〇〇に生まれ変わって百合っぷるを観察するといったネタの作品をたまに見かけます。

 私は夢か腐で言えば確実に腐であり、推しカップルはモブか何かになって応援したいというスタンスの人間なのではあるのですが、それでも〇〇になってカップルを観察する系の作品には抵抗があったのですよ……。それ視姦じゃないか。萌えたり応援したりしてりゃあプライバシーを侵害してもゆるされるというものではなかろう、と。

 こうしてネタを真面目に捉えた結果、「自分たちが何者かにずっと見られていることに気付いたカップルが憤慨して物語世界から逃走をはかる。しかしその何者かはどこまでも追いかけてくる」というストーリーの案が生まれたのでした。

 

 推しカップルを追いかけまくる存在は語り手にしてありますが、これはもう白状するまでもなく、酒見賢一『語り手の事情』からの直球の影響です。小説がお好きな方は一度よまれると良いですよ?



【タイトル】

 お分かりの通り、ピンクレディーの「ペッパー警部」の歌詞をもじったものになります。


 実は本ストーリーの雛形が思い浮かんだのが、モー娘。カバー版の「ペッパー警部」を聴いていた時でもあったのです。無粋な邪魔者から逃げようとする二人組のイメージですね。


 子供のころ、何かの拍子でこの曲を聴いた時に「良い雰囲気の恋人たちの邪魔をする警察官」の歌ではなく、「夜中に活動する女義賊二人組の邪魔をする警察官」の歌だと解釈したことが記憶の片隅に残っていたこともあり、ストーリーのイメージを固めるのに利用しました。



【二人の名前】

 睦月亜衣と嶋利和音の名前ですが、一応意味があります。「初めから終わりまで」という意味です。


 睦月……一年の最初、一月から

 亜衣……アイウエオの「アイ」の意


 嶋利……「しまる」が転じて「しまり」

 和音……和音→わおん→五十音字の最後「ワヲン」の意


 第二話で各世界にいる二人の名前、アイリーンはアイーダなど亜衣の分身のネーミングはわかりやすいかと思われまずが、ゾーイ、ゾーエといった和音のの分身のネーミングはアルファベットの最後の文字「Z」から始まる女性名から選んだ次第です。


 まあ、単なる小ネタではありますが。



 

 もうちょっとストレンジフィクション風に綺麗に決めたかったのですが、キレのいい奇妙な話を書くには実力が不足していたようで悔いは残る者の、さまざまなシチュエーションを二万字内に詰め込む作業は結構楽しいものでした。


 それでは、次回は連載作の続きでお会いしましょう。

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