第31話 『火崎日向子の最悪な年越し。』

 魔法、ないしは超能力を使う女の子が登場する物語の類型にかつては「不思議な力を持っているお手伝いさんがやってくる」があったようです。しかも結構メジャーだったような気配があります。

『家族八景』の火田七瀬さんあたりが有名でしょうか。未見ですがコメットさんという有名な魔法使いさんもいらっしゃいます。私は『超少女明日香』が好きですね。

 源流を遡ると、お手伝いさんではありませんがメアリー・ポピンズあたりがいそうです。


 考えてみれば、何の変哲も無い我が家で生活の長い時間を共にする存在がもし不思議な力を持っていて良きにつけ悪しきにつけ不思議な体験を味あわせてくれたら? という幻想の託し先としてお手伝いさんは最適な存在だったのかもしれません。ロボットとか忍者とかオバケが突然居候するよりも現実的ですしね。

 しかし時代の変遷でお手伝いさんの存在が一般家庭と縁遠くなってゆくにつれ、不思議なお手伝いさん系の物語の命脈もだんだん細くなっていったように思います。


 本作にて火崎家に居候している異世界人の少女であるドラは、元々別作品にほぼデウスエクスマキナとして登場した重要キャラクターです。いつかまたどこかに登場させたいと機会を伺っていたので、同一世界観の物語である今作にこういう形で再登場させました。

 書きながら上にあげた「不思議なお手伝いさん」類型を思い出した為、このような仕様となった次第です。彼女も言うたら魔法少女ですよということで。


 そんなわけでピクルズジンジャーです、あけましておめでとうございます(※これを書いているのが2019年一月一日の午前)。


 去年も大晦日ネタで他愛もない話を書いていたからじゃあ今年(2018)も同じことをやろうと単純に考えた結果、構想の甘さから盛大に泣きをみて帰省中の時間をほぼ今作にぶつけることとなってしまいました。持って帰って読もうとした本が全く読めず、国民的番組も中途半端にしかみれず、すきあらばスマホばかり弄りやがってと顰蹙を買う始末。そして大晦日中に終わらせたかったのに年明けてしまいましたしね……泣きたい。


 時間がかかった最大の原因は、本作で火崎家周りの人間関係を進展させておきたかったいと欲をかいたことにあるでしょうね。特に火崎日向子の変な友人である烏丸ヒカルと可哀想な先輩・紫竹あおいはもう一回出してみたかった。そんなわけでこの二人はこんな感じになりましたが、紫竹あおいが可哀想なことになってしまったことに関しては謝りたい。そしてフォローをしてあげたい。

 ちらっと登場する佐藤える子の友人の子供というのは『える子故郷に帰る。』の陽蜜と白狼夫妻の子供です。仲良くやってらっしゃるんでしょう、うん。


 そんなこんなでキャラクターの人間関係を進展させたり、この世界観の重要トピックである塞の山トンネルの事故などを絡めているうちに文字数は膨れるわ、異空間を冒険する流れになるわ、下手なくせにアクションする羽目になるわ──な次第になっておりました。

 辛かった、スマホでこの量をぽちぽちするのは本当に辛かった……。

 なお、この間にトンネルの向こう側で起きているドラ曰く「けたくそ悪いドンパチ」の詳細が、別作品でよく語られるとある小さな国が侵略された一件ということになります。火崎夫妻とドラはある程度の事実を見聞きし把握しているということで。


 とにもかくにも当初予定していたものにそぐわない内容になったためタイトルを変更するなど雑になってしまいましたが、一年ぶりに火崎日向子と門土みかどを書くことそのものは楽しかったです。なかばヤケクソだった最終章ですが開き直って色々書きましたよ。しばらく会えないならこれくらい言わせてやれ、な、心境でしたよ。

 そして日向子はいわゆる幕僚もののアクション映画を好むというどうでもいい情報を開陳できたこともなんとはなしに嬉しかったです。

 どうでもいいことついでに言いますと、ドラの一人称「おれ」は男の子っぽく振る舞いたい女の子仕草ではなく、「おら」の派生的なものだと考えていただければ幸いです。


 と、まあ、ほとんど何も考えない状況で書き始めて泣きをみた作品であるので、クオリティーには全く自信がありません。最終章なんて冷却期間おかずに即公開したよ……怖いよ。

 それでも火崎家周辺ではこんなことが起きましたという報告になっていればなと思います。



 2019年も自分なりのペースでカクヨム活動を続けてゆくかと思います。本年もどうぞよろしくお願い致します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る