嫉妬が産声を上げる瞬間

第七話時点でのレビューになります。
二人の「下川」。自作曲をアップロード出来る音楽投稿サイトRAMPANT(リァンペント)を通じて、この二人の間に巻き起こる感情。
自分を客観視出来なくなり、疑心暗鬼を呼ぶ嫉妬。
その嫉妬がどんな形で生まれ、何を変えていくのか。生々しく表現されるその過程を読み進める度、行き着く先が気になってたまりません。
嫉妬により次第に崩れていく主人公。その所業と心の叫びは決して美しいものではありませんが、誰かに強く嫉妬した経験のある人ならば、共感してしまう部分も多いのでは無いでしょうか。
感情を向ける相手が同じ名字である所も、主人公の嫉妬を浮かび上がらせる巧みなエッセンスになっていると思います。才能や境遇だけで無く、名前という絶対的なパーソナリティーでさえも奪われてしまうような感覚。
どうやったって「人」は「人」であるという、本能に呼びかける作品だと思います。