【サキっち】(犬のニャン太様)

【地獄へ行く前に寄り道】

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883965879


 魔王を倒し、宿願であった家康を討つ事に成功した三成と左近は、亡き太閤豊臣秀吉に会うべく当てのない旅を続けていた。

 そしてとある街で最強を決める闘いがある事を知る。


「ふむ。この大会で武名を上げれば、欲しい情報も手に入りやすくなるやもしれんな。それに、俺を知る者が連絡をくれるやもしれん」

ワン!にく!


 三成は左近のお尻を撫でながら言う。


「そうかそうか。おぬしもそう思うか。なあに心配はいらん。何せおぬしがついておるのだからな。左近がおれば怖いものなどない」

ワン!腹減った

「そうかそうか。気合い十分だな」


 相変わらず会話の通じない二人であるが、それとは別に三成は大きな勘違いをしていた。


「さあゆくぞ。最強の座を手にするのはこの俺だ」

ワン!にく!


 果たしてその大会、ペットは同伴可能なのであろうか。


「地獄へ行く前に、世界最強となる……か。俺らしくもないが、この世界に来たからには今までと同じである必要もあるまい」

ワンワン!にくにく!

「はっはっは。左近もそう思うか」


 金髪碧眼の貧乳美少女が黒い小犬を小脇に抱え、大会が開催される地を目指す。


「地獄への行き方も分かると良いがな」


 真剣な表情で歩き続ける三成の前に、一匹の蝶が舞った。


「あっ、ちょうちょ! ……くっ。左近、今のは見なかった事にいたせ」

ワン?にく?

「ええい、歯がゆい。時折現れるこの乙女の心持、どうにかならぬものかの」


 三成は美しい金髪がふわりと舞うほど首を振り、何かを振り捨てるようにして再び歩き出す。


「それとこの乳も、もう少しどうにかならぬのかの……」


 地獄へ行こうと決めた日からどれだけの夜を明かしたことか。

 全く手掛かりの無いままに、彼らは最強の座を求めて大会へと向かうのであった。

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