第6話 序章(6)

(本文)


 そんな身の危険を感じて『ブルル』と、怯えている様子の俺を。フレイヤは相変わらず、舐めるように見ながら口を開いたよ。


「そうでしたね。旦那さまには、まだ説明をしていませんでしたね。わたくし自身が、ついついと、旦那さまとの再会が嬉しくなりまして、誠に申し訳御座いませんでした……旦那さまとはですね。前世の世界で夫婦だったので御座いますよ。わたくしと……」


「前世で?」

「はい、そうで御座いますよ……」


「……そうなんだ、前世なんだ……あああ、マジでびっくりしたよ」


「……びっくりさせて、しまいましたかね、旦那さまを?」


「えっ?あっ、うん。マジでびっくりしたよ。俺、いつ結婚したのだろうかと悩んだよ? あは、あは、あははは……(笑) まあ、それはいいけれど。前世の夫婦なら別に問題ないんじゃないかな? 俺が他の女性達と仲良くしていても。今は別に夫婦でも何でも無い訳だしね」


 何だかこの人……マジで訳解らない事を俺に言いだした。


 取り敢えずはね、何か面倒だから俺。笑って誤魔化したよ。

 大体さぁ、俺に前世の事を持ち出されても全く訳解らないしね。


 でもそんな彼女に俺は嫉妬されて、この有り様だけど。


 それにさぁ、俺が他の女性といても、いんじゃね~? みなもそう思うだろ?


 だって今は彼女とは夫婦では無い訳だから。それにこの女性ひと一体歳は幾つなのだろうか?


 前世とか言っているけどさぁ、意味が全く分からん?


 それにね。あれやこれやと、彼女にしても良いと言われても、やっぱり怖いよ。この女性ひとの事が。もしかして中二病なのかな?


 それに俺、何か変な事に巻き込まれるのが嫌だから、きっぱりと断ろう。多分一人で逃亡生活をする方が、俺は良い気もするしね。


 でも、さぁ、少しは勿体無い気もするけれど、彼女の事を。

 本当はね、俺の顔がだらしなく歪んでしまうぐらい。容姿だけなら彼女、この世で一番の女性かも知れないからね。



 ◇◇◇◇◇


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