もふもふ従者とお忍び旅する聖王さまは、最後まで猫耳カチューシャ姿でした

異世界《ニホン》から帰るなり、臣下たちの反対を押し切り、ケモミミもふもふ少年ギシュタークを引き連れて、休暇と称して人探しの旅に出た聖王イシュナグ。
身分を隠すため、自分は猫耳カチューシャ着用で、そしてギシュたんには無理やり女装させて(とても重要なポイント)

軽妙なテンポで進むドタバタ珍道中ですが、時おりちらほらと陰謀の影が垣間見え、気付けばすっかり物語に惹き込まれておりました。

特筆すべきは、聖王さまの異世界サブカルかぶれっぷり。
常時装備の猫耳カチューシャを始め、冷静に思考を巡らせながら魔法少女アニメの主題歌を口ずさんだり、「薄い本」をヒントに巻物を製本してみたり。
重くなりがちな話も、ところどころニヤリとできるネタが仕込まれていて、絶妙なスパイスとなっています。

従者ギシュたんの、異常なまでの可愛らしさも忘れてはなりません。
びくびくおどおど、すぐにお腹空いちゃう、女装が似合いすぎちゃう、お姉さまたちに追いかけ回されちゃう。
ケモショタの素晴らしさを引き出す要素が、これでもかと言うほど盛り込まれています。

丁寧に張り巡らされた伏線が回収されていく終盤の展開は、爽快そのもの。
温かな余韻と少しの切なさを残して、希望が輝くラストでした。
面白かったです!

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