第4話 モスを狩ろう

「にゃあ」

え、意味のない鳴き声は、もういい?

今日の狩りの獲物は、モスだよ。

モスは、蛾や蝶の仲間。

「今年は1テールを超えるグレートモスが4種類も大発生の兆しがあるんだ」

ランカーが今回の依頼について説明してくれる。

テールは長さの単位で、15センチ位ね。つまりジュールとランカーの身長は2テール位ってこと。羽を広げて15センチくらいだから、普通の蛾だ。……普通?ちょっと大きめかな?

大きな蛾はヒラヒラして、捕まえ甲斐があって大好き。

前世では蛾を見たら、ギャー!って思ってたけど、今は蛾を見たらキャー(ハート)って思うよね。うん。


「モス種は森にいる間は、大して被害も出さないんだけど、増えすぎて一定量を超えると、なぜか集団で大移動するんだよ。大移動が始まると、進路に当たった町や村が、壊滅的な被害を受ける。鱗粉に毒があるのもいるし、果樹園の食害もすごいんだ」

「そこで俺たち冒険者が、増えすぎる前に数を減らしに行くんだ」

「今回の依頼は、触覚を持って帰ればいい。対象は黒いのと、茶色いのが2種類と、青いヤツ。モルフォっていう青いモスは、鍛治師が買ってくれるから、鱗粉を集めて帰る。それと、依頼外だが、同じ地域にいるチャマダラっつう0.3テール位の小型のモスは、毒がある。鱗粉が目や口に入らないように気をつけて」


オッケー、了解でっす。


こっちの世界で魔獣と呼ばれるものは、大きく分けて2種類。一つは、穴をくぐって向こうの世界から来た生き物。そしてもう一つは、それがコッチで繁殖して、魔法を使えるようになったもの。



こっちと向こうではサイズが違いすぎるから、普通の昆虫や小型動物でも、こっちでは巨大怪獣になる。それと、こっちの方がちょっと体が動かしやすいんだよね。よく意味は分からないんだけど、魔圧が違うんだって。なので、向こうから来た魔獣はとても力が強くなったり、素早くなったりするんだ。


繁殖して魔法が使えるようになったヤツは、たいてい小型化しているらしい。力や素早さなんかも、元の種よりは低くなってることが多いんだけど、その代わりに魔核を持っていて、魔法が使えるんだって。


魔法って、夢があるよね。晴夫の頃は、変身とか魔法は空想世界かと思ってたけど、案外身近にあって、ビックリしてる。


「森に入ったら、ハルはいつものように好きに狩っていいよ。ただ、ちゃんとトドメは刺してから持って来てね。ジュールは鱗粉に気をつけて。俺は後方支援ね。たまに幻影魔法使うのがいるから、風と光で散らす予定」

「はあい」

とどめか……動く方が面白いのに。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る