第11話 長官とのひと時

簡易視察と言うことで、大樹の丘の案内をすることに。

ルーシェ様は、すごく綺麗で可愛らしい魔族の女性の方だ。しかも、それでいて管理整備長官ってすごい方なのよね…。

私みたいな人の子が横で歩いていてもいいのかなって、一応、思うんだけど、ここ最近、色んなことがありすぎて、それにも慣れてきてしまったみたい。


「ところで、アニス様。貴女の能力ステータスについて知りたいのだけれど、見ても宜しいかしら?」


「私の能力ステータスですか?人の子の能力ステータスを見ても大したことは無いと思うのですが?」


「いえ、ここに来て一年足らずで、私の精神魔術を無効にする程の耐性、この丘の全ての精霊を友と言えること。私が先程、軽く怒って少しだけでも魔力が漏れても動じなかったことなどを考慮すると、結構な力を持っていると思うのよ。まぁ、私の興味本位なんだけど。」


「精霊さんに関しては、私の記憶の封印が解けたことやこの「光の書」さんが知識の手助けてくれてることですよ。」


「あら、それって、「光の書」じゃないの。貴女が選ばれた方なのね。ますます興味が湧いて来たわ。」


うーん、これは何を言っても、私の能力ステータスを絶対に見るまで諦めないだろうなぁ~。

でも、実際、私の能力ステータスって解らないことだらけだから、見てもらうのもいいことかも。


「では、ルーシェ様、私の能力ステータスについてお調べください。」


「その前に一般整備士のランクと耐性等を見せてあげるわ。」


と言うと一般整備士の基本的な能力ステータスが書かれた紙を手渡される。


中央庭園

一般職種別ランク:整備士C 管理官D 管理整備補佐官E 管理整備官E

    所持耐性:精神耐性C 物理耐性D 全属性耐性D 術系耐性D

         魔力耐性C+ 天力耐性D 竜耐性E 精霊耐性D

    所持能力:身体強化術 精神強化術 中級整備術 下級管理術…etc.


大樹の丘

一般職種別ランク:整備士C 管理官D 管理整備補佐官E 管理整備官E

    所持耐性:精神耐性C 物理耐性D 全属性耐性D 術系耐性D

         魔力耐性C 天力耐性D 竜耐性B 精霊耐性D

    所持能力:身体強化術 精神強化術 中級整備術 下級管理術…etc.


その他

一般職種別ランク:整備士D 管理官E 管理整備補佐官E 管理整備官E

    所持耐性:精神耐性D 物理耐性D 全属性耐性D 術系耐性D

         魔力耐性C 天力耐性D 竜耐性E 精霊耐性D

    所持能力:身体強化術 精神強化術 下級整備術 基礎管理術…etc.


「ありがとうございます。これが一般的な整備士のランクなんですか?」


「そうよ。これが一般整備士のランクと耐性とかね。中央は魔族が多めだから魔力耐性が高めなのよ。」


「その他の庭園は、一般整備士のランクは低めなんですね。」


「そうね。まずは、基本を積んで貰うことによって、中央やこの丘へ配属される整備士が決まるのよ。この丘に関しては、古竜様が居るので竜耐性が高くないと働けないのよ。特例として、この丘の出身者や竜耐性が高いものは、ここに配属がされることが稀にあるけどね。」


「そうなんですか。私の場合は、クラ爺との約束での特例ですよね…。では、そろそろ私の能力を見て頂けますか?」


「えぇ、ありがとう。そういえば、結構、耐性が付いているのよね。魔眼で見るよりも、きちんと調べてみましょう。」


ルーシェ様が何か魔術詠唱を始めると私の足元に魔法陣が生成される。

簡易結界のような光が魔法陣の上に立つ私を覆う。一瞬、強い光が私を輝き照らし、そして消えていく。

ルーシェ様の手に持つ一枚の紙に私の能力ステータスが記載されていく。


     アニス:人種 性別:女性 年齢:17歳 

      身長:157㎝ 体重:54㎏ スリーサイズ:B85W57H86

      職種:特別管理整備補佐官(期限付き) 一般整備士(大樹の丘所属)

         大精霊師エレメンタルマスター

一般職種別ランク:整備士B+ 管理官A- 管理整備補佐官A 管理整備官B+

    所持耐性:精神耐性S+ 物理耐性C+ 全属性耐性B+ 術系耐性A 

         魔力耐性S 天力耐性S 竜耐性S+ 精霊耐性S++ 

         (精霊加護時:全所持耐性SSS)

    所持能力:精霊眼(後天性・両眼) 精霊加護 

         全精霊術 「光の書」による選定者 

         中級治癒術 身体強化術 中級整備術

         上級管理術 中級管理整備術 転移扉移動術

         読心術 交渉術 畏怖+ 気配無効化

         精霊支配無効化 全精霊攻撃術無効化 

         幻惑、魅了等の精神系攻撃無効化…etc.


「うーん、思った以上の逸材だったわ…。これが人の子だけが持つと言う無限に秘められた潜在能力なのね。本当に素晴らしいわ。」


「ルーシェ様、あの私にも見せて頂けますか?」


「えぇ、いいわよ。これが今のアニス様の能力よ。」


「ふむふむ。えーっと、これ、何かの間違いではないんですよね?」


「私は、これでもこの光の大庭園ライト・ガーデンの七大魔族の長でもあるのだけれども、信用できないかしら?」


「いえ、人の子でありながら、こんなにも凄いことになっていて、自分のことながら驚いているだけです。」


「なんなら、アニス様の両親の能力ステータスも見せてあげましょうか?」


「えっ、いいんですか?」


2枚の紙を取り出して、私に手渡してくれる。


      アル:人種 性別:男性 年齢:35歳 

      身長:170㎝ 体重:70㎏

      職種:管理整備主任補佐官 中央管理局所属中央管理室室長

         古式格闘術師範代

一般職種別ランク:整備士A+ 管理官A 管理整備補佐官S+ 管理整備官S

    所持耐性:精神耐性A 物理耐性B+ 全属性耐性C+ 術系耐性C+

         魔力耐性S+ 天力耐性S 竜耐性B 精霊耐性C

    所持能力:身体強化術 精神強化術 上級治癒術 

         上級整備術 上級管理術 上級管理整備術

         読心術 交渉術 古式武闘術 

         忍耐力+ 包容力 恐怖+…etc.


      ニナ:人種 性別:女性 年齢:33歳 

      身長:155㎝ 体重:認証拒否 スリーサイズ:認証拒否

      職種:管理整備菅主任 中央管理局主任 古式結界師

一般職種別ランク:整備士A 管理官A+ 管理整備補佐官S 管理整備官S+

    所持耐性:精神耐性A 物理耐性B 全属性耐性C+ 術系耐性B-

         魔力耐性S+ 天力耐性S 竜耐性B 精霊耐性C

    所持能力:身体強化術 精神強化術 上級治癒術

         上級整備術 上級管理術 上級管理整備術

         読心術 交渉術 古式結界術 

         忍耐力 包容力+ 恐怖++…etc.


うん、私の両親らしい所持能力だけど、やっぱりどれも能力がとても高いんだ。

人って、こういう風になれるんだ。単なる短命種で最弱種ではないんだな。


「アニス様は、人という種が短命種で最弱種というお考えだったのでしょう。それは間違いですわ。人という種族は大いなる知恵と努力によって、その無数にある潜在能力を開花させることで、こういう風に色々となれる素敵な種族なのですよ。」


「そうなんですね。私の学生時代は平均的な成績で平凡だったので、何も考えてなかったんですよ。でも、この丘に来て、色々と変化が生まれて、今はとても楽しいです。」


「そう。それはよかったわ。人の子がこの丘に配置される際に反対した私が言うのもなんだけど、アニス様がここに来てくれて本当に良かったと思うの。ここは区別特区が無いから、人の子がどういう目を見るのかが心配だったけど、ほぼ全てを一人で解決してくれたから。レイティアからの報告が毎月の楽しみだったのよ。」


「レイティア様が毎月のようにいらしていたのは、私の保護的なこともあってことだったんですか?」


「いえ、それはついでよ。ここは室長補佐が居ても、室長が居ないに等しいから、レイティアに頼んでいたのよ。クラルテ様は基本、傍観者だから、あまり報告をしてくれないの。でも、中央の総合管理としてはしっかりとしないといけなかったから。今回の交換研修でようやくレイティアがこの丘の室長になってくれたから、物凄く助かったのよ。」


「まぁ、毎月、来てはシャイン様の尻拭いをしているから、仕方なくというか、何というかなんでしょうかね…。」


「ん?何か、言ったかしら?」


「いえいえ、特に何も言ってませんよ。」


「そうだ、アニス様だけ特別に私の能力ステータスも見せてあげるわ。」


そう言うと新たな一枚の紙を手渡してくれる。


    ルーシェ:魔族種 性別:女性 年齢:1517歳 

      身長:156㎝ 体重:48㎏ スリーサイズ:B88W54H87

      職種:管理整備長官 中央管理局局長 七大魔族筆頭

         魔流剣術師ソードマスター 大魔導師スペルマスター 魔法剣姫マジックソードプリンセス

一般職種別ランク:整備士S 管理官S 管理整備補佐官S+ 管理整備官S++

    所持耐性:精神耐性S++ 物理耐性A+ 全属性耐性A 術系耐性A+

         魔力耐性SSS 天力耐性S+ 竜耐性A+ 精霊耐性A-

    所持能力:紅玉と蒼玉の魔眼(両眼) 七大魔族(傲慢)  

         上級整備術 上級管理術 上級管理整備術

         身体強化術 精神強化術 不老 体型変化 変幻自在

         全魔術 全魔流剣術技 全魔法付与

         飛行術 読心術 交渉術  

         忍耐力 包容力+ 恐怖++

         幻惑・魅了・睡眠・混乱等の精神攻撃無効化

         全魔力攻撃無効化…etc.


凄い能力ステータスとしか言えない。剣術や魔術は超一流ってことよね。

さすがに長命種であるから、年齢も凄いなぁ~。それに魔族の長って本当なのね。

この見た目に反して、この能力は怖ろしい限りですね。今更だけど、知らぬがなんとやらっていうのが素敵なことに思えるわ。

それにしても、この体型は一般女性からしたら、羨ましいかぎり。

でも、体型変化という能力で、身長もスリーサイズも自由自在になるのかな?


「うん。体重は変えられないけど、身長やスリーサイズは変えられるわよ。」


「ルーシェ様、急に心を読むのは、止めて頂けますか。」


「私、長身の美女ってイメージが嫌いなのよ。女の子なら、やっぱり可愛らしく守って貰いたいでしょ。」     

 

「はぁ、そういうものなんですか? あんまりイメージないですし、私は別に普通の女の子だと思ってるので。」


「アニス様は、ホントに自分の容姿とかに興味がないみたいですね。こんなに可愛らしいお嬢さんなのに。」


「いえいえ、私なんてどこにでもいる普通の女の子ですよ。まぁ、今となっては外見だけですけど…。」


「ホントに親子なんですね。ニナもあんなに綺麗なのに普通って言い切るから…。他の種族の同性からも羨ましがれる存在なのに。」


「お母さんはホントに綺麗ですよね。お父さんもカッコいいと思うけど、なんで私みたいな平凡な子が生まれたんだろう。」


「そう言い切るところが、ホントに親子ですね。アニス様の噂は中央で聞いてますよ。この丘に人の美少女がいるって。」


「レイティア様やシャイン様と一緒にいることが多いせいか、私は目立たないはずですよ。」


「あの二人も綺麗よね。でも、あの二人の中に居ても、変わらない美しい存在感を出しているのよ。だから、この丘から帰ってくるとレイティアの周りには、その話を聞きたくて人だかりが出来るくらいなのよ。」


「そのお話、初耳なんですが、本当のことなんですか?」


「嘘を言っても仕方ないでしょ。それにこの丘の査察に来れるのはレイティアだけだから。」


「そういえば、他の査察官の方を見ないのは、古竜様の威厳なのでしょうか?」


「まぁ、簡単に言えば、そういうことになるかしらね。あの威厳に耐性を持ってないと失心しちゃうから。最低でもBクラスの竜耐性と精神強化術が無いとお仕事にならないし、ここで働いてる種族は全員、竜耐性Bはあるから。視察と査察だとクラルテ様の竜気が違うでしょ。だから、中央からこの丘に来たくても、来れる種族は少ないのよ。その点、アニス様は別格だけどね。」


別格か…。確かに私の竜耐性S+になってる。魔力耐性や天力耐性もSになってる。気配無効化まであるわ。

まぁ、確かに古竜様やレイティア様の気配に気づけるようになっちゃったから、仕方ないことなのかな。

ここの魔族さん達、上級や下級とか関係ないし、解らないから、耐性も自然に上がっていたのかも知れないわ。

そういえば、記憶の封印が解けたから、精霊さんとまたお話できるようになったんだっけ。

それにしても、大精霊師エレメンタルマスターって、「光の書」さん、これは一体、どんな能力なんですか…。


大精霊師エレメンタルマスターは、その名の通り、全ての精霊と心を通わすことのできる存在。簡単に言えば、全庭園の精霊とお友達になれるってこと、大精霊と友達になれる可能性を秘めてるんだよ。精霊術っていうのは、精霊に力を借りて発動する術のことで、風の精霊に頼んで空を飛んだり、水の精霊にお願いして、水中に潜ったりとか、色々と便利な術だよ。いざという時の防御や治療なんかも精霊に頼めば、力を貸してくれる。精霊との絆が強ければ強い程、その術の威力は上がるからね。代償として精神力を使うけど、簡易的な術であれば、自然と助けてくれるはずだよ。」


「光の書」さん、ありがとう。助かるわ。あまり、ルーシェ様に何でも聞くのは、失礼だからね。

精霊さんとは、友達だから、あんまり無理して貰いたくないから、いざという時以外は、なるべく使わないようにしないと。

それにしても、ルーシェ様は何故、私を様呼びするのかしら?

なんか、すごい偉い方から様扱いされるのは、ちょっと怖いのよね。


「あのルーシェ様、私のことはアニスで構いません。お父さんやお母さんと同じ様に名前でお呼びください。」


「アニス様、それは無理なのですよ。私は光の大庭園ライト・ガーデンの管理整備長官であって、特別管理整備補佐官は私より遥か上の役職なのです。それが期限付きであっても変わらないことなので、上の立場の方を呼び捨てには出来ないのです。まぁ、私より上の立場の方が少ないので、新鮮で楽しいというのが本音ですけど。」


あぁ、この笑顔、何を言っても無駄な感じがするわ。うん、これは素直に諦めよう。

無駄に足掻いたら、痛い目に合うのは、きっと私だから、無理はしないでおこうっと。


「久しぶりに中央からこの丘に来たけど、やはり中央とは違う美しさがあるわね。」


「はい。この丘は、とても美しいと私も思ってます。他の庭園と比べることができないのが、ちょっと残念ですが。」


「そうそう、交換研修が終わるひと月前に私の付き添いの元で、他の庭園全てを案内するつもりだから、その時の同伴、宜しくお願いしますね。」


「ということは、最後の一ヶ月は、この光の大庭園ライト・ガーデンを全て視察研修になるのですか?」


「そういうことになるわね。今回は長期なので、最後のひと月はここの全てを見て帰って貰おうと思っているから。」


「クラ爺の許可は取ってあるのですか?」


「いいえ。まだだけど、クラルテ様のことだから、OKくれると思うし。」


最後のひと月は、長官様の付き添いの元で光の大庭園ライト・ガーデンの視察研修なんて、考えも及ぼなかったわ。

あぁ、この交換研修、ちゃんと最後まで勤められるか、私、とても心配になって来たわ。

明日は、基礎学校の図書館にいって、あの方に会いに行ってこよう。少しは相談に乗ってくれるといいのだけれど。

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