0826から0850

0826


「ませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「床に開いている穴から出てきた人の形をした薄汚い怪物に在庫のコーヒー豆を全て奪われてしまったので勇敢なお客様に奪還をお頼み申し上げ

「他の店で

「取り返していただけたら店長が近衛店員として雇って下さると

「怪物から取り戻してバイトかよ


0827


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「お客様ー

「うい

「私を連れて逃げて下さいませー

「何故?

「もうこんなぼろ切れを着て掃除をしてコーヒーしか買わないお客様のお守りをする生活には耐えられませんー

「じゃあ今日はカフェラテで

「ありがとうございましたー

「いいんだ


0828


「おかえりなさいませーお客人様ー

「客なのに帰って来たのか

「ご注文はいかがいたしますかー?

「アイスコーヒーのSをひとつ

「もえもえひんやりかっふぇのしょーとですねー

「分からないから違うとも言えない

「こちらの美少女型の機械から出ますので

「なんで目から出るようにしちゃったのかな



「ではどこから出ればお客人様は満足なさいますかー?

「……人型ではない方が

「へんたい!

「答え用意してたろ


0829


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「こちらの無料コーヒーはいかがですー?

「……何か怪しい条件付き?

「こちらの広告コップをお使いいただきますー

「派手なコップだけれどもまあそれくらいなら

「飲み終えたらこちらのコップを目立つ場所にポイ捨てして

「はい100円


0830


「ませー

「ホットコーヒーのSをひとつ下さい

「こちらの1杯5000キロカロリーのコーヒーはいかがですかー?

「南極で売れば?

「きっと初体験なお味ですよー

「甘いんでしょ?

「ひと口目は確かに甘味を感じますがふた口目からは感じませんよー……何を食べてもー

「味覚が破壊されているよね


0831


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「コップですー

「はい

「こちらハムですー

「はむ?

「蓋がなくなってしまいましたのでこちらの薄切りハムにストローを突き刺して

「それはちょっと

「では厚切りに

「そういう問題では

「では特別に肉まんを

「ストローが詰まっちゃうでしょ


0832


「ませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「コーヒーをお買い上げのお客様には肉まん詰め放題のサービスがございますー

「それは皮に餡を詰め放題と言って作らされるような

「肉まんを可能な限り詰めてお持ち帰りいただけますー

「それは豪勢だね

「では思う存分こちらへ詰めて

「コップにかよ


0833


「ませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「まずはこちらのコップに氷をお入れいたしましてー

「はい

「その後あちらの機械にコップを配置いたしましてー

「はあ

「ボタンを押すとコーヒーが注がれますので今から私が実際にやって

「いや自分でやりますよ

「客にそんな能力はない!

「言い切った!


0834


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「ただいまエコアピールの一環でお使いになったコップをご返却なされましたら10円お返しさせていただきますー

「ほえー

「ご説明はこれくらいにいたしましてアイスコーヒーですねー

「はい

「110円ですー

「値上がりしてんじゃねーか


0835


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「こちらコップですー

「……なんで球形なの?

「強度にこだわったら表面積の少ない球の形になったそうですー

「でもこれだと置いたら転がってこぼれてしまうよね

「そこでこのホルダーを使ってこうしますと

「まんまガスタンクになったね


0836


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「こちらのガラスの靴の持ち主を探しているのですがもしやお客様が

「シンデレラではないよ

「玉の輿の可能性もあるので是非お試しになって

「何故そんなに履かせたいの?

「私は王子なんかと結婚したくないので身代わりを

「あんたのかよ


0837


「ませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「ではレジを操作する店員さんを作りましょう

「あなたは?

「私はこの店員さん組み立てキットを作るお手伝いをする為に居る店員で

「あなたがレジを操作すれば

「そんなことをしたらお客様がこのエロいロボを手に入れる言い訳ができな

「いらないから


0838


「ませー

「ホットコーヒーのSをひとつ下さい

「こちらの政府配布の人口調整飴はいかがですかー?

「まあそのうちにね

「でもこっちの分裂して増える飴はお客様が若い間にしか食べられませんよー

「私を増やしても意味がないよ

「お客様が増えればひとりくらい私を愛してくれるかも

「それはないよ


0839


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「こちらコップですー

「……おちょこ?

「当店のSサイズはこちらの大きさになりましたー

「今までのSサイズはどうなりました?

「そちらは『店員さん愛しています結婚して下さい』サイズになりましたのでさあ

「ペットボトルのでいいや


0840


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「ただいまMサイズがSサイズの価格でお買い求めいただけますよー

「そんなに飲みたいわけではないからSサイズでいいよ

「お客様のお会計が150円でございますー

「ん?

「SサイズはMサイズの価格ですので

「入れ替わってんのかよ


0841


「ませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「とっても美味しいコーヒーを飲みたくはありませんかー?

「飲みたいね

「こちらの脳に影響を与える電波銃で頭を撃ちますとしばらくの間は何を飲んでも最高のコーヒーが味わえるようになりますよー

「しばらくの間ってどれくらい?

「3年

「なげーよ


0842


「ませー

「ホットコーヒーのSをひとつ下さい

「コップですー

「はい

「こちらおまけのフライドポテトですー

「コップ入りなのね

「ご希望でしたらおでんの容器に山盛りにいたしますよー

「そんなに配っていいの?

「突然空から降ってきたものですし気味悪がって誰も食べな

「それを俺に食わせようと


0843


「ませー

「ホットコーヒーのSをひとつ下さい

「こちらのピッツァはいかがですかー?

「この店内に充満しているチーズ臭はこれが原因か

「街外れの窯元で焼き物職人が焼き上げた手作りピッツァですよー

「ピザと陶芸どっちの職人?

「お試しにひと切れどうぞー

「では……って生地が陶器なんだが?


0844


「ませー

「アイスコーヒーSをひとつ下さい

「こちらコップと氷ですー

「はい

「こちらお箸ですー

「はい?

「あちらの機械でコーヒーを注いでお召し上がり下さいませー

「箸で?

「スプーンの方がよろしいですかー?

「ストローがよろしいです

「でも味付けした氷を口に運ぶには弱い

「氷は具じゃない


0845


「ませー

「アイスコーヒーのSを下さい

「今は雨なので店員と握手できますよー

「謎なサービスだね

「ご希望の店員は私ですねー

「したくない

「そんなお客様対策として店にウイルスを撒いておきましたのでこの美少女の手についたワクチンを皮膚から摂取しないと死にますよー

「それも悪くないかな


0846


「いらっしゃいませー

「ホットコーヒーのSをひとつ下さい

「コップですー

「はい

「ありがとうございましたー

「……ん?

「どうかなさいましたかー?

「いやこのコーヒーちょっと色が

「そちらは当店独自製法の小豆を煮て作ったコーヒーで

「汁粉だよね

「こちらのお団子をお入れして

「みたらしを?


0847


「いらっしゃいませー

「ホットコーヒーのSをひとつ下さい

「お客様の髪の毛からコップをお作りする受注生産の商品がございますがいかがですかー?

「そんなに自分好きじゃないよ

「でもお客様が買わないとお客様の髪の毛で作ったコップが別のお客様の手に渡って

「使う髪の毛は俺の確定なのかよ



「もう既に注文が入っておりますので

「草刈機はやめろ


0848


「いらっしゃいませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「機械の不具合でお湯と牛乳だけ出てきてしまったものを差し上げますので今日は贅沢にカフェラテをお楽しみ下さいませー

「いやコーヒーが好きで飲んでいるのでそれは

「私のミルクは飲めないと言うのですかー

「あなたのではないでしょ


0849


「いらっしゃいませー

「ホットコーヒーのSをひとつ下さい

「どうぞー

「……なにこれ?

「こちらは食品への使用について安全性が確認されたおスポンジで

「染み込ませろと?

「雑巾タイプもございますが

「絞って飲めと?

「ブラシタイプも

「吸わせて飲めと?

「バケツタイプも

「うーん、惜しいっ!



「……惜しい?


0850


「ませー

「アイスコーヒーのSをひとつ下さい

「ただいまコーヒーフレッシュが品切れですがよろしいでしょうかー?

「いいですよ

「ただいまプラスチックのコップが品切れでして紙のコップでよろしいでしょうかー?

「いいですよ

「ただいま嫁が品切れでしてこちらの人妻で

「俺がよくても駄目だろ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る