命の殻を破るのは、神の意志か。それとも、人間の好奇心か。

唐突に起きる、謎の航空事故から始まる物語。

もちろん、深い意味がありますので、しっかり押さえておきたい部分です。

主人公には、名前がありません。
あるのは、No.42と言う記号。
かりそめの名前で人生を渡る、不思議な青年です。

青年は、桜塚幸也の戸籍を使い、行き着いた働き先のラフホテルで、
風俗嬢と出会います。
名前は、ナミ。
少し変わった彼女の存在は、死ねない環境で乾き切った幸也の心に、
浸透します。

訳ありの青年と、風俗嬢の恋愛が始まるのかと思いきや、
幸也は、あっさりと拉致されます。
そこで待ち受けていたのは、
ARK研究所。
No.42に関わる情報と、遺伝子上の100人の兄弟のうち、わずかに生き残った兄弟。叔母達。
命に、好奇心のメスを入れた人々の結末を、一緒に見守りませんか?

作者の桜雪様が、命の根元と可能性を題材にされる作品は、それぞれ別視点で解釈され、発表されていますが、
今回も、読み応えがあります。
登場人物が追う、生き様と決意から目が離せません。

完結まで、必ず拝読致します。
桜雪様。命の可能性の素晴らしさと、悲しい愚かさ。
共感できる解釈の物語を届けて下さって、
ありがとうございます。