第三章 スタチュー
再来! 箱状の敵
四天王の二人目を倒した翌日。
すでに昼食を済ませ、歯磨きも終えていた。
珍しくトミイチもいる。彼が、食後30分経って歯を磨く提案をしていた。
「勉強はいいのですか?」
「たまには目を休めようぜ。本を読まずに」
「たまには、ねえ」
のんびりと休日を過ごす、普段着のライゾウたち。
当然、まだロボットは直っていない。
しかし、敵が襲ってきた。
「いくぞ!」
ライゾウの言葉のあと、スミコが最初に走り出した。
キヨカズとネネが続く。
タカシたち五人の同級生のうしろから、トミイチも追いかける。
十人は、海底の駅で列車に乗り込んだ。
「何か手は?」
「ない。ブルータンデムで時間を稼ぐ」
キヨカズの問いに即答したライゾウ。
地下の
グレータンデムは、動くこともできない。
左右の腕がどちらも直っていない、ブルータンデム。
どう見ても、まともに戦える状態ではない。
「みんなは
「じゃあ。わしはこっち」
外ハネヘアの少女と銀髪の少女が、二人の少年を連れて去っていく。
スミコとネネが、同時に手を伸ばす。
四人が中に入り、エレベーターでさらなる地下へと向かう。
何か言いたそうなライゾウは、何も言わなかった。
二人の少年は、少女に手を握られている。
ドアが開く。
グレータンデムより一回り大きい、人型の
「でかい
「凝った装飾があるし、強度に問題が――」
二人を制して、ネネが説明する。当然のように白衣を羽織っていた。
地下にあったのは、
グレータンデムでの戦いのデータを、
戦闘データをもとに、人の意志が登録され、伝達。動けるようになる。
データが必要だと分かったのは、同じ言語が使われているから。
「同じ文字だったから、昔の
スミコが口を
何かを
「それで、この星では、統一言語が使われている?」
「乗ってたのは、ご先祖さま?」
ライゾウも続いた。
「さあ。
「意図的にデータを消してくれたなら、ありがたいけど」
ロボットは静かに立っている。
「完全じゃないけど、今なら動かせるわ」
「完全ならば、危険度は
いにしえの人形。
関節は赤い。体に、青色の
「こいつの名前は?」
銀髪の少女が、すこし考える。
「ダブルエス」
ライゾウとキヨカズは、お互いの顔を見てうなずいた。
コックピットに繋がっている通路へ向かって、走る。
全長、約13メートルのロボット。
丸みを帯びている部分が多い。
スイッチを操作し、横に開く胸の
「座席がないのか」
胸のコックピットは、球形の空洞になっている。すこし平らな足元。
グレータンデムと同じく、二人乗り。
空洞もふたつある。下にはライゾウが。斜め上には、キヨカズが向かう。
中に入ると、まるで壁がないかのように周りが見えた。全面ディスプレイだ。
ロボットの目が光る。
左右それぞれの手に、スイッチの付いた棒をにぎる二人。閉じる
どこか甘い香りがただよう。立ったまま操縦するしかない。
「ひょっとして、もとは一人乗りだったんじゃ?」
キヨカズが疑問を口にした。
ネネが通信で答える。
『改造したのか分からんが、見つけた時から二人乗りじゃ』
『乗れなくて悔しい』
「任せとけ!」
『そうそう。分離して、2機の飛行機に変形できるぞ』
「なに! 試していいか?」
「いきなり実戦でやるのは、良くない」
『落ちるに決まってるでしょ』
ライゾウは、すこし落ち込んだ。すぐに気を取り直す。
「操作は似てるな」
「むしろ、こっちが本家だ」
『そんなことより、早く、エレベーターに乗るのじゃ』
『ダブルエス、発進!』
自動化されていないため、歩いて移動するダブルエス。
「いくぜ!
「
エレベーターは高速で上がっていく。
パイロットへの
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