初めての一本の選び方

 こないだほしくずさん買っちゃったじゃないですか。

 だからもう当分は新しいの増やさなくていいかな、むしろうちの子は欠番が出るまで今のメンバーで打ち止めでもいいかな、と思っていたんです。

 思っていたんですけど、ほんの束の間正気を失っている間に新人さんが手の中に収まっていました。あれー?


 完全に万年筆沼に足をとられる今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 今回は、いよいよ初めての万年筆をお迎えしよう! という時に、ちょっとばかしお役に立つかもしれない内容です。


 まず、万年筆がほしい、と言ってもその度合いは各々違いがあることと思います。

 「すぐ使わなくなりそう。どんなものか、触りだけわかればいいかな」というライトなあなたには、メーカー各社から出ている初心者向けの品がおすすめ。

 特にプレジールが良いです。

 プレジールはプラチナ万年筆さんから出ている、千円前後の鉄ペンです。鉄ペンでありながら書き味にぬるぬる感があり、その書きやすさは流石のプラチナ。文具店で気軽に試し書きできる類の子なので、ぜひお試しあれ。

 が、プレジールの真の魅力は書き味ではありません。

 なんとこの子、「インクが干上がらない」のです。

 実は万年筆とは難儀なもので、使用しないまま置いておくとペンの中のインクがどんどん蒸発し、固形化した成分がペン先に詰まってしまうのです。

 「しばらく万年筆を放って置いたら書けなくなった」という現象の原因はこれです。

 ぶっちゃけペン先を水につけて洗えば簡単にリカバリーできるのですが、見えないところで確実に、ペンは傷んでいます。

 それを防げるのがプレジール。

 キャップに特殊な加工が施されており、インクが従来に比べて格段に乾きにくくなっています。

 プラチナさん曰く「一年間置いておいてもすぐ書き出せる」とか……。

 まだ万年筆と仲良くなれるかわからない、そんなライトユーザーさんには迷わずおすすめできる一品です。

 ちなみに同社製品のプレピーにも同じ加工がしてあるそうですが、プレピーは試し書きすらしたことがないのでおすすめは避けておきますね。


「万年筆をお迎えしたい! 使う予定は自ら作る!」

 こんな覚悟が完了しているあなたには、万年筆専門店をおすすめします。

 専門店、なんて言うと仰々しく聞こえますが、僕が言う場合は、書店にある万年筆コーナーのことです。ちょっと大型なお店でないと無いかもしれませんね。地方にお住まいの方は、週末のおでかけのついでにでも足を運んでみてください。

 専門店の利点は、直接ペンを手にとって試し書きができること。

 ペン先の素材、字の太さ、メーカー、シリーズライン、いろいろな要素で万年筆の書き味は変わります。そして、「自分にとって書きやすいかどうか」は実際試してみなければわかりません。

 僕としては、書き味よりも書きやすさを優先することをおすすめします。

 書き味にはいずれ慣れますが、書きやすさは慣れではどうにもなりません。

 そして、「書きにくい」「使いづらい」という不快感は、万年筆を手元から遠ざけます。

 それでは、せっかく買った万年筆がかわいそうですよね。

 ですので、万年筆はぜひとも試し書きをしたうえで。

 ご予算とご相談しつつ、自分の手にあったパートナーを探してあげてください。


 ちなみに、そんなことを言いつつ僕は万年筆を書き味で選んだことがありません。オールタイム見た目優先。

 だって僕は筆圧が大層強いから。鉛筆のみならず、ボールペンのペン先も潰すレベル。

 万年筆を使いたかったらどのみち書き方を矯正しないといけないので、書きやすさがどうとか関係なかったのですな。

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