合同練習

 今日は他県の高校の弓道部と合同練習がある。その高校は全国大会で1桁に入るほどの強豪校で、うちの学校の弓道場で行われるのだ。合同練習は2日あり、相手は泊まりがけで練習をする。合同練習の相手は弓道着に着替えている途中にやって来た。

「「「おはようございます。」」」

「「「おはようございます。」」」

やって来た人達は先生以外全員坊主だった。そのことに少し驚いたが普段通り準備をして準備体操を始める。他校の弓道部の人は分からないので安川が前で説明しながらいつもよりゆっくり準備体操が行われた。その後は合同練習を面倒くさがって来なかったサボり組の代わりに他校の弓道部の人が入り、いつも通り練習は進められた。ちなみに生徒が弓道の練習をしている間、山中先生と相手の弓道部の顧問の先生は自分の弓道場などについて

自慢をしあっていた。

「うちの弓道部ではこの種類の弓を使っとるんよ。」

「うちはこの種類ですよ。なんせこっちの方が真っすぐ矢が飛びやすいんで。」

「だったらこっちの方が矢を放った後の反発が少ないから安定しやすいですよ。」

この他にも多くの事について自慢のしあいは部活が終わるまで続いた。生徒は内心(子供か!)と笑っていた。


「今日の練習を終わります。礼。」

「「「ありがとうございました。」」」

練習が終わると合同練習の相手の弓道部の顧問の先生が、

「お土産があるので全員で分けてください。」

おと言いながら袋を弓道場に置いて帰った。

「「「やったー!」」」

レギュラーはみんな食いしん坊だ。袋の中を見るとチョコレートなどのお菓子が入っていた。どう分けるか話し合った結果、弓道部らしく弓道で決めることにした。パンの時はそうではなかったのに…。


 合同練習2日目も1日目とはあまり変わりなく、練習後のお土産をかけた試合も行われた。先生達の自慢のしあいもずっと続いていた。ただ一つ変わったことは安川が坊主になっていたことである。

「あれ、もう相手の学校の人来とるん?」

「あいつは安川で。」

そのような会話がちらほらと聞こえた。他校の生徒も坊主なのでややこしくなったのだ。なぜ坊主にしたのか本人に聞いてみると、

「昨日自分で髪を切ったら髪型が変になったけえ坊主にした。」

とのことだった。ちなみに本人は坊主が気に入ったらしく、この日から安川は卒業するまでずっと坊主だった。

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