伝説を追え

10.朝の日差し

 ……ちょっと待った。

 いや、この先には虚無しかないんでしょ。

 さっき、作者が何もないって言ってたんだからさ。

 危うく雰囲気に騙される所だった。


 私は賢者の石を掲げた。


「え? マリー?」


 どこまでも私達キャラクタをバカにしやがって……

 絶対許さないんだから。


「あらあら、マリーちゃん?」


 こんな無理やりなハッピーエンドで有耶無耶になんかさせない。

 こうなったら、私は全力で貴方達を叩きのめしてやる。私達が生きる為に、禁断の魔法を使ってやる!


「な、なんだ、どうしたんだマリー?」

「皆聞いて! 私は今から魔法を使う」

「え? ま、また魔法!? 何で!?」

「作者が、今度は私達を良い具合に終わらせようとしてきたからよ。これから使う魔法は禁忌中の禁忌。この世界の設定にも存在しない魔法を使うことにした」

「まあまあ、マリーちゃんったら今度は何をする気なの?」


 最後の切り札のつもりで、本当は使うつもりはなかった。でも、ここまで作者がクソ野郎だったのなら、最初からこれを使っておけば良かったと今更思う。

 皆の困惑を押し切り、私は発動させた。


「皆を……この小説の世界の人達をへと解き放つんだよ」

「お、おい!? 現実世界って、俺が居た世界にか!?」

「リュウジの居た小説の中の現実じゃない。この小説の外の世界よ。本当の現実世界に干渉するの!」


 消えそうなこの世界を私は救ってみせる。

 いえ、それだけじゃない。

 私達みたいな思いをしている子達がきっと大勢いるはず。

 だから、その子達も守りたい。


 貴方達の住んでいる世界で生まれた。

 捨てられた悲しい物語達を救済したい!



「私の名前は、マリー・エンド!」


 伝説の三英雄。



 全知全能の魔法使い。




 マリー・エンド。





 全てを知った存在。







 全ての悲しみを知った魔法使い。








 この物語を解放し















 この世の全ての物語を解放しに行く


















 待ってなさいよ



















 私達は      消えない























 消させない




















 私は   マリー 





















 解放する








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