「名探偵」というメタ存在を巡るドラマ

名探偵渋谷慎吾の活躍を中心に描く現代恋愛ドラマです。

しかし間違いなく「名探偵」が主軸のお話でありながら、ミステリーや謎解きはさほど本筋ではありません。毎度劇的な殺人事件やいかにも「それっぽい」トラブルに巻き込まれる探偵とその周辺の人物たちの悲喜こもごも、および恋人たちの純愛がストーリーのメインになっていきます。探偵の近くにいる人たちは探偵の近くにいるがために事件に巻き込まれてしまうのですが、それを「まあ、あいつは名探偵だから」の一言で済まされてしまう名探偵という存在のおそろしさよ……!!

いわく、「名探偵という生き物がいる。それは職業じゃない。生き物の名前だ」――。

一見軽薄そうな渋谷探偵をはじめとして、「探偵の恋人」で「弁護士」の硯茗、「大学時代の同級生」で「よく事件現場で顔をあわせる」笹倉刑事、何かとつき合いのある小鳥遊検事――各話はそれぞれの登場人物たちの視点が交代するかたちで進んでいきます。しかもそのトップバッターがなんと「探偵事務所で飼っている九官鳥」視点という意外さ。

そして過去に起きたとある事件のことが語られていくにつれて探偵とその恋人の二人の互いの関係性が明らかになっていき……。

「名探偵」の出てくるドラマにありがちなそれっぽさ、あるある設定、定番展開を踏まえつつ、それでいて嫌味っぽさはなく、あくまで甘い恋愛物語に収束していくさまは見事(二人にはどうか幸せになってほしい!)

おススメです!