神が人を■したはなし -Fine Line-

鍵田紗箱

プロローグ

 みなさん、はじめまして。私の名前は、アオイと申します。

 え?そちらの方は、はじめましてじゃないのですか?…そちらの方も?……私には面識がないのですが…。

 ………なるほど。

 つまり皆さんは、【あちらの物語】から来たのですね?

 いえいえ、非難なんてしませんよ。そういった方にも…いえ、そういった方にこそご覧になっていただきたい物語ですから。 

 まず、物語の根幹はあちらと変わりません。こちらの物語も、アザミ様の提示された設定に沿って展開されます。

 知らない方のために、その設定を簡単に説明しますと——――― 


【物語の舞台は現実世界】【ジャンルはファンタジー、アクション】【ファンタジー要素の『雫』に限界を設ける】【恋愛は成就させない】


 —――と言ったところでしょうか。

 特に真新しいもの、目を引くものがあると言った感じではありませんね。

 …そうでした。【結末をバッドエンドとする】がありました。

 え??『結末を知っていたら楽しくない』ですか?

 ………。

 …そうですね。楽しくない…物語…です。

 こんな物語を公開したら、主様に怒られてしまうでしょう。何と言っても、主様を納得させられなかった物語ですので…。

 だからこれは、私のエゴです。

 それでもっ!■■■の必死に紡いだ物語をご覧になっていただきたいのです!

 ……ハァ…ハァ…。すいません。私としたことが、取り乱してしまいました…。 

 え???聞き取れなかった?私のレアな必死の叫びですよ…。

 …すいません。1つ、試してみてもいいですか?


【私の雫は『■』です】


 …ふむ、そうですか。聞き取れませんでしたか。

 さっきまでは普通に話すことが出来ていた。今だって、こうして会話できている。

 つまり、特定の言葉が阻害されてしまうようですね。推測ですが、阻害されているのは『あちらの物語に関わること』ではないかと…。

 …となると、これからご覧になってしまう物語にも、多少の不備が存在してしまうかもしれません。

 申し訳ありませんが、ご理解いただきますようお願いします。

 …『それはそうと、内容の説明を』ですか?

 そうですね―――


【1人の少女の儚い恋物語】


 ―――といったところではないでしょうか。

 …我が主に怒られそうですね。


 それではご覧いただきましょう。

 『-Fine Line-』の再演です。

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