第11話 天皇陛下御即位~ヤマブキ・ジシバリ・オニタビラコ・タンポポ

 令和元年。新しい天皇陛下が御即位し、雅子様も皇后陛下となられた。私の本名の読みが同じ”マサコ”なので名前が連呼される度に奇妙な気分になっていたのだが、御即位後、初めての一般参賀の際のお召し物がキレイな黄色で、更に黄色か…と、これまた妙な感覚を覚えた。

 私は中高と調布にある中高一貫の女子校に通っていたのだが、その学校には学年色というのがあって、六年間、決まった色をシンボルとして使用する。私は黄色の学年だったので、鉢巻も、名札も、体操着につける名前のゼッケンも縁取りは黄色だった。私自身も黄色は好きな色ではある。一番と言う訳ではない。三番目位。

 野の花には黄色が多いように思う。黄色・白がほとんどで、あとは紫~桃色で大半が占められているような気がする。そんな中でたまに赤い花が有ったりすると、ドキッとする。彼岸花とか。樹木だと赤系統の花をつけるのも多いような気がする。統計を取った訳ではないから不正確だけれども。黄色い花をつける樹木だとヤマブキがそうだ。山吹色という色があるぐらい、とても特徴的な黄色い色の花をつける。

 

 春から夏にかけて、黄色い花をつける草本植物が目立つようになる。

 通学路といわずどこにでも咲いているのがタンポポだ。有名な話だが、今の日本で咲いているタンポポには西洋タンポポが多い。その名の通り外来種だ。日本の固有種はカントウタンポポ・カンサイタンポポ・シロバナタンポポなど。キビシタンポポというのもあるそうだが、これとシロバナは九州の方に特異的に多いのだという。ちなみにシロバナタンポポは何故かある時突然、実家の庭に出現し、以降40年近く同じ場所で毎年花をつけている。最初は一株だけだったが今は複数が庭に生えている。珍しいのでとっておいたが、まさかこんなにも長く存在し続けるとは思わなかった。

 道端にタンポポよりも控えめな花をつけて咲いているのがジシバリだ。これも小学生の頃から好きな花の一つ。ただジシバリという名の通り、茎の方はどんどん伸びて地面を這いまわっている。花の可憐さと対照的なバイタリティを見せる。連休に帰省したときにもジシバリがあちこちで咲いていた。

 オニタビラコとかタビラコの小さい花も良い。私が通学路で見ていたのはおそらくオニタビラコだと思う。黄色い小さい花が付いているのを見ると、小さな庭園という言葉が頭に浮かぶ。オニタビラコに限らず、小さい花をつける植物が固まって咲いているのを見るのは好きなのだが、家に持って帰って寄せ植えにしてもすぐに弱ってしまうだろう。そもそも私は植物の世話は苦手だ。見るのは好きだけど世話はしないなんて勝手な人間には、野の花をどうこうするのは無理な話なのだ。勝手に生えたのを取っておく、のならできるけれど。

 

 皇后陛下のお印はハマナスなので、鮮やかなピンク色である。ハマナスの花のようにぱっと華やかな所はご成婚の頃と変わらないので明るい黄色は良く似合うけれど、そういえば婚約発表の時はクリーム色の服だったような気がする。同じ黄色でも年を経て似合う色合いが変わったのだな。ネックラインに合わせた真珠のネックレスは同じものだろう。ご成婚フィーバーの頃は、服装のアレコレについて特集が組まれ、ネックレスとネックラインは合わせるべし、という情報が出回ったり、ヘアスタイルを真似る人も続出したのだった。時期的にはバブルがはじけてしばらくの不景気ムードだったころなのだが、ロイヤルウェデイングに沸いた女性は多かったのである。

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