世界とハンカチーフ

 ハロー、世界。二日ぶりの現代社会はコンクリートで舗装されていて深夜でも真夏のむし暑さにうんざりする。人生が嫌いだって主張するために歩行するこのホモサピエンスを嘲りたいなら嘲ってくれ。お前の声が聞いてみたい。結び目理論よりも複雑に僕らつながっている。

 

 ハロー、世界。職業安定所で愛が欲しいと看板を掲げるウサギにさよならする。不純だって罵られて泣き腫らした目じゃ流星は見られないよな。ネオンライトが輝く繁華街で鬱屈を嘔吐する。純粋がお望みなら万能包丁のきらめきでも見せてやろうか。冷たいコーラでも飲みたい。


 ハロー、世界。汚い部屋でずっと生きていくほど諦めきれなかった。いつか後悔する日が来るだろうか。おはようなんてつまらない一言で自殺志願者を救えてしまうから、後悔はしても諦めはしないだろう。たくさんの結われたハンカチーフがほどかれて青空に散らばっていく。適当に願い事でもすればいいさ。幸せになりたいとか。空に舞うハンカチーフへとのばした手が触れあって。


 結び目理論よりも複雑に僕らつながっている。ウサギは泣きやんだし、僕はトイレで手を洗うときハンカチーフを使うような社会性を身につけた。別に今が夜明けだとしても誰も困らないだろう?

 おはよう世界。ここが新しい朝だよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る