5つのチートで異世界最強な治癒術師

招き猫

プロローグ

皆さんは、ロールプレイングゲーム、略称RPGをした事がありますでしょうか?


日本人なら、一度は聞いたり、目にしたりした事があると思います。


で、そのRPGで最も必要な役職や、役割って何だと思いますか?


黒魔術師? 戦士? 盗賊?


いいえ、違います。


僧侶や、白魔術師などの回復を専門とする役職が最も必要なのです。


しかし、RPGをしている人は、みんなとは言いませんが、ほとんどの人が回復専門の役職は育てずに、攻撃や防御に特化した役職ばかり育てるのです。


確かに、強くなるためには、最も効率の良い方法だと思いますが、それでは脳筋プレイとなってしまい、ゲームを最大限に楽しめないと思うのです。


ですので、僕 【音無 雫】は必ず回復専門の役職を優先的に育てます。


え、何?


名前が女っぽいって?


一般的には、雫なんて名前、男には付けないと思いますが、僕は結構気に入っています。


理由はありませんが、何となく僕の中ではいい感じなので。


とにかく、回復専門の役職を優先的に育てると、後々キツくなるのは、目に見えていますので、僕はあらかじめレベル上げをしてから、物語を進めるのです。


もう、その方法を取ってから、何年経つでしょうか。


しかし、最近のRPGでは回復と攻撃の両方出来ると言う僕的に最強だと思う役職が出ているのです。


ですが、僕はそれを許しません。


回復は回復、攻撃は攻撃なんですから、一緒にしてはいけないと思っています。


「おい、音無。授業を真面目に受けろ」


「は、はい!すみません」


怒られてしまいましたね。


僕は今、高校一年生の15歳。


ですが、さっきの様にゲームの事を考え過ぎて、授業に集中する事が出来てないので、よく怒られます。


僕の最近の悩みを聞いてくれますか?


……え、いいのですか?


ありがとうございます!


こほんっ!


単刀直入に言うと、この世界が暇なのです。


毎日、毎日同じ様な事の繰り返し、楽しみな事と言えば、ゲームとアニメくらいです。


異世界の誰かさん!


僕を異世界に転移させてください!


回復専門の役職となって、みんなを笑顔にしてみせますから!


その瞬間、僕の足元に魔法陣が浮き上がりました。


その魔法陣は、全体的に緑色で、何か安心してしまいます。


何故かって?


僕は、緑色が好きなのです。


その理由は、回復専門の役職のイメージカラーが緑色だからです。


僕は、魔法陣から目を離し、辺りを見回した。


この教室の中で、魔法陣が浮き上がったのは、僕の所と、このクラスのリーダーである【神童 優一】とその友達の【丹波 翔平】、そしてクラスのマドンナ的存在である【河上 神奈】さん、この4人です。


神童、丹波、河上さんの足元に浮かび上がった魔法陣の色は、赤、青、紫の三色です。


魔法陣が足元に浮かび上がった人たちは、気付いている事だと思いますが、クラスのみんなはこの魔法陣の存在に気付いていないのです。


しかし、僕にはそんな事関係ありません。


念願の異世界に行けるのですから。


この時を僕は待ち受けておりました。


ありがとうございます! 神様、仏様、召喚者様!


そろそろですかね?


魔法陣が先程より、光が強くなってきました。


もう、目も開ける事が出来ません。


異世界のみなさん、僕がみなさんを笑顔にしてみせますよ!


待っててください!


そこで、ドロドロと意識が溶け始め、僕は意識を失った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る