これこそが「本物」のファンタジーなんですよ

この作品はなんだか「自作言語をつくったのですごい」と評価されているふしがあります。もちろんそれは「とてつもなくすごいこと」なんです。しかし、異世界を描くただの道具としてそれを見るのは間違いです。一見、現代の地球にみえても、端々から「この世界は違うよ」というのがわかります。それこそがこの話の真の意味での「凄み」なのです。傍目には現代の地球に似た価値観であっても「ずれ」があります。それがすごいのです。そして主人公は、その「ずれ」に気づきつつも、あくまで「自分は平凡な人間だ」と覚悟を決めています。この世界は一人の英雄がなにかを変えるご都合主義な世界「ではありません」。この世界にはこの世界のルールがあり、それは極めて複雑で、個人のレベルを超えています。そして主人公がそれを理解しているからこそ、まわりの人々がとても魅力的に思えます。たぶん、主人公は英雄にはなれません。でも「だからこそすごい」のです。あくまでも個人的な意見として、「これが本物のファンタジー」なのです。