バタン

 友人がロの字の始まりの部屋、リビングで漫画を読んでいる。

 私はリビングの扉、風呂場とダイニングに繋がった扉を抜けて、リビングと対面にあるトイレに扉を開けて入った。

 トイレの先にはL型の寝室がある。トイレは部屋の設備の一つだ。

 そこで用を足していると、まず、バタンと扉が開いた。次に二つ目の扉が開いた。


「あいうえー」


 友人の声が私の名前を呼んでいる。

 足音がする。ダイニングのビニール敷の床を踏んでいる。

 人気が近づいてきて、開け放しにしてある寝室への扉に頭だけ突っ込んで、コチラの様子をうかがっている気配がする。

 

 ああ、呼んでいるな。


 返事をせずに急いでトイレを出たが、開いているはずの扉は全て閉まっていた。

 友人に呼んだか確認するが、友人はそんなことはしないと言った。

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