第7話 こっくりさん

これは俺が小学6年生だったころの話し。


ある月曜日に登校すると教室の空気がどんより重かった。


なんだろうと思っているといつも元気でクラスのムードメーカーである

K子がやけに暗い。


「ど、どうしたの?なんか暗いね」


俺はK子に話しかけた。


するとK子は急に怒りだした。


「昨日みんなでこっくりさんやったの!どんだけ恐かったか!!」


おいおいおい。それはお前らの勝手でなぜ俺が叱られなければならないのか。

一瞬イラっと来たが黙って話を聞くことにした。


K子の話しはこうだった。


K子とF子とⅤ子(全員俺の好みだった)でなんとなくこっくりさんをやったそうだ。


初めは好きな男の子の気持ちをきいてみたらこっくりさんはちゃんと動いて

答えてくれたそうだ。


恐いと言うよりコイバナに花が咲き、楽しかったらしい。


(ちなみにそのコイバナの中に俺の話題は一切でなかったらしい。くそ!)


で、最後に三人の誰かが「今夜、トイレに行けますか?」という質問をしたらしい。


誰が何のためにそんな質問をしたのかわからない。三人とも覚えていないと言う。


で、出てきた結果が


「い け な い 」  だったそうだ。



霊がトイレに行かさないと言う。三人はパニックに陥った。

夜、何が起きるのか!!


恐くなった三人はこっくりさんに泣きながら許しを乞うた。

だが、こっくりさんは最後の文字である「い」の場所を動こうとしない。


「どうしたら許してくれるの!!」


逆ギレしたK子がそう叫ぶと


「あ ぶ ら あ げ 」と10円玉が動いた。


現れたこっくりさんは狐なのだろうか。


そこでK子は妹を呼んで油揚げを買ってくるよう頼んだ。


三人とも10円玉から手が離せないのだ。


(こっくりさんの途中で10円玉から指を離すと祟りで手がちぎれる)


泣きながら妹の帰りを待つ三人。手が震えて10円玉から指が離れそうになるのを必死に我慢していた。


で、妹が帰って来たが、油揚げではなく、厚揚げを買ってきてしまった。


俺は笑い話だなと思ったが三人はその時、人生最大の絶望を感じたそうだ。


「どうしてあんたは!!!」


と、年端も行かない妹を責めてしまったが


10円玉は勝手に動き出した。


「こ れ き ら い 」


「ええええええ!!!!!!!」


涙と鼻水で三人共ぐちゃぐちゃになっていたが


10円玉はそのまま出口にむかって、こっくりさんは帰っていったそうだ。



「許してくれた!!!」


三人はそのままぐったりとした。

もちろんその夜は何も起こらなかった。



「ははは!スゲーな!」 俺は爆笑した。


その時俺をにらんだK子の白い眼を今でも忘れられない。

12歳の子供があれほど人に憎悪をむけられるのかという表情を。



霊よりもそっちの方が恐かったという話しでした・・・・・。









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