心霊シリーズ

桜井 貴司

第1話

心霊病棟編

プロローグ 都内のとある病院は、ある理由から近隣住民や都市伝説好きな人間に有名だ。その理由は、病院の敷地にある旧病棟に関係している。病院内やその近くで寿命以外で死亡した人間の魂が、旧病棟へ迷い込むと言われていた。その旧病棟から、魂を見つけ出して連れ出せたなら生き返るとも。

この話を知っている住民や噂好きな人間は、旧病棟へ入ろうとするものの決して入れない。旧病棟へ入るにも生き返らせるにも、条件があったからだ。

ただし、その条件に当てはまらずに、中へと入れる人間もいる。その条件を知っている人間たちは、大切な人を取り戻そうとしていた。 旧病棟に迷い込んだ魂は、死亡した日から三日後の夜明けまでに見つけ出し連れ出せば生き返る。

しかし、中へと入れるのは家族か、想い人だけだ。もしも連れ出しに失敗したならば、その魂も救おうとした人間も未来永劫、旧病棟を閉じ込められて迷い続けると。果てない苦しみに包まれる。

唯一の例外もあり、魂が関係のない人間に助けを求めた場合、もしくは連れ出しに失敗した誰かが、生者を同じようにさせようと連れ去ってしまう。旧病棟には昔の看護師たちや院長が徘徊していると。院長に見つかったら最後、決して脱出するのは不可能だと言われている。

連れ去られた人間もまた、三日以内に脱出ができなければ永遠に閉じ込められてしまう。それを知る人間は、未だに誰も存在していなかった。脱出するには、旧病棟の正面玄関から。

それ以外の場所からは出られない。 この日、五人の人間が本棟から消えてしまった。三人は突如として。一人は消えた人間を探して、もう一人は心霊病棟へ誘われる形で。五人の詳細は、学生三人と女医一人。その患者が一人であった。

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