締まりすぎない、異世界ロードムービー

 魔物や自分への悪意を遠ざける「ギフト」のせいで、幼なじみとの冒険者パーティーをクビにされた10歳の少年が、ロバを相棒に旅に出るというお話。

 ハードな描写も凝った設定もなく、一見して淡々とした作品なのですが、なんというか、読んでいて自分自身の初めての一人旅のことを思い出すような、不思議な魅力のあるお話です。ハードな描写は無いと書きましたが、旅立ちのための荷造りや手続きなど、地味なディティールがおそろかにされていないからでしょうか。

 ギフトのおかげで安全な旅ができるので、道中子どもやお年寄りがついてきたり、間が抜けているけど気のいい大人がまわりに集まってきたり、という肩の力が抜けた展開もいい感じです。

 登場人物のキャラクターが全員朗らかなので、不覚にもそちらにも癒されてしまいます。疲れているときに読んだので、ちょっと泣きそうになりました(マジで)。

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