メルちゃんの異世界日記!

イエローテイル

序章主人公に名前をつけよう


………

真っ暗だ何も見えないどれぐらいの広さがあるのか

どれくらいの高さがあるのか

何もわからない 

怖い 怖い すごく怖い 

すると光が見える 二つだ

「早く早く」と光が呼び掛けている気がする光の方向に向かっていくと

扉だ 

「開けて開けて」光がそう言っているような気がする


扉を開く


………






暖かく柔らかい感触、布団だろうか

闇の中にいる自分の意識が徐々に体に戻ってくる

そして目を開ける

意識もうつろで視界はぼやけてよく見えない、目だけをゆっくりと左右に動かし

視界の覚醒を促す

徐々に捉えられた視界が移すのは天井、木の暖かさを感じさせる木目調の天井だった


「ここはどこだ」



「目が覚めたようね」

美しい声、聞いているだけで心が安らぐような声が耳元でなく少し離れたところから聞こえる


顔だけを声のする方に向ける

一人の少女がシンプルな木の椅子に座り本を読んでいる横顔が移る

17歳ぐらいだろうかブロンド色が腰まで届く長い髪を三つ編みおさげに結っているのが特徴的だ


「あんたはいったい」


少女は読んでいた本を机に置き体をこちらの方向に向け見つめる

その瞳は綺麗な翠緑色をしていて顔立ちはすごく整っていて美しい

「ようこそ願いの館へ」

「あなたの願いは何」

その言葉はとても意味深な感情が含まれているように聞こえる



「えっ」

突然の問いかけに困惑するも

頭の中を巡らし返答を考える


少年は

難し表情のまま固まってしまう




「思い出せないんだどうして自分がここにいるのか自分が誰なのかも」

難しい表情はそのまま少女に向けられその目は嘘をついていない



「記憶がないの」

少女は少し首を傾け少年の目を見つめて言う


「そうみたいだ」


少女は右手で右側の少し重たそうな花柄の髪飾りを少し触り口を開く

「私はメルこの願いの館の主をしているわ」

「ここに来れるのは願いがあるものだけなの」

「あなたどうするの」

メルは少年の瞳から目をそらさず真っ直ぐ見つめる


「どうするってどうしよう」

少年はメルの瞳に吸い込まれそうになり目線そらし少しうつむき言う


沈黙が流れる


メルは少し考えはじめその沈黙を破た

椅子から立ち上がり少年のベットに近寄りしゃがみ少年の顔を除く

「よし、あなたここで働きなさい」

その表情は先ほどまでの真剣さはなくどことなくうれしさを浮かべ瞳を輝かせる


少年はメルの小動物みたいなその顔をに少し緊張感が取れ顔が緩む


「働くって何をするんだ」


「あなた話を聞いてた願いを叶えるのよ」

メルは少し眉を顰める


「大丈夫よここで働けばおのずと記憶を取り戻せるわ 私を信じなさい」

その言葉に嘘は無いように見える

悪い人じゃなさそうだし自分が記憶を取り戻すまでここにいることに決めた

「わかったここで働く」


「少し休んだら下に降りてきなさい私は下で本を読んでいるから」

「それとあなたにやってもらいたいこともあるし」

少女は読みかけの机に置いてあった本を取り部屋を出る


「何だたんだろあの子は」

少年は少し考えるもやはり記憶は思い出せない

「願いを叶えるってなんだ一体何をするんだ」

少年は少し困惑をするがメルの真剣な表情を思い出しすごく大変なことをするのだと思う

少年は顔をパンと両手でたたきベットをから立ち上がる

体は思ったよりスムーズに動きで長い時間寝てはいなかったのだと気づく

部屋にあった姿鏡で自分を見る


少年は学生服のような恰好をしていた

年齢は15歳ぐらいだろうか黒髪で体系はやせ形身長は165ぐらいだろうか


部屋を出て一階に向かうとメルの姿が

「待ってたわよ」

メルは少年に気づき読んであった本を机に置き二人掛けのソファーから立ち上がる


伸張は少年より少し低いぐらいかその恰好は魔法使いみたいな恰好ではあるが

どことなく身分の高いそんな服装でもある

太ももまでの白色の靴下とフリルのついたスカートが似合う


「ちょっとまってて」

メルはそそくさとどこかに行く


少年は辺りを見回す

赤いジュータンの上に二人掛けのソファーが二つ大きなローテーブルを囲む

右を見ると玄関らしき鈴のついた扉が見える

左にはキッチンらしきものが見える

全体的に家具は少なくいたってシンプルであるゆえに、木目調が目立ち木の温もりを感じさせる家だ

そういえば他にも二つぐらい扉を見た

一人で暮らすにはさすがに広い間取りではあると感じる


そんなことを思っていると少女が何を持ってきた

満面の笑みでそれを渡す

「はい、お願い」



「ん、何だ」

少年は受け取る


「って ほうきに塵取り!?」

少女はにっこと微笑む


「っておい 何が願いをかなえる仕事だ ただの掃除要員が欲しかっただけじゃないか」

少年は何か大変なことをするのだっと思っていたのでこのメルの不意打ちに

ついついツッコミをかます


「掃除して欲しいのが私の願いよ」

メルはその満面の笑みを崩さない


「なんだか騙された気分だ」

少年は肩を落とししぶしぶ掃除を始める



「なあ あんたほんとにここで働いたら記憶が戻るのか」

すこし不服そうな表情をする

「あんたじゃない私はメルよ 、だって今は客がいないから仕方ないじゃない」

「口を動かさず手を動かしなさい働かざる者食うべからずってね」

「そこ終わったら隣の部屋も掃除しといてよ」

少女は指をさしソファーでお茶お飲んでくつろぎながら本をよむ


「そういえばあなたの名前は」


「オレの名前」

何だ 思い出せない

少年は難しい表情をして何かをひらめく


「そうだあんた、願いを叶えられるならオレの記憶を思い出させてくれよ」


「だから あんたじゃなくてメル!」

メルは少し声を荒げて少年を睨む

「あなたの問いに答えるのは掃除が終わってからよ!」

メルはそうういいお茶を飲みそっぽむく



「へいへいわかりましたメル」

少年は嫌味を吐き掃除を再開した


リビングの掃除を終わるメルに言われた隣の部屋にいく


「隣の部屋ってここか」

部屋の扉を開け中に入る

そこには鈴のついた赤い首輪をした一匹小柄な黒猫が猫用のベットでまるまって寝ている

それ以外は殺風景な部屋だ


「おーい子ネコちゃんお掃除しますよー」

少年はしゃがみ猫の頭をなでようと手を出した


「ガブリ」


「ギャー」

少年はあまりの痛さで飛び上がり目には涙が浮かぶ


「どうしたの」

メルが部屋に駆け付ける


「猫に噛まれた」

少年はメルの顔を見て少し涙目になりながら噛まれた手をおさえる


「はぁ、 噛まれたぐらいであの悲鳴」

メルはため息を漏らしあきれた表情で少年に近寄る


「めっちゃ痛かったし」

アオは噛まれた手を見せアピールする


「大げさね リザも噛んじゃだめよ」


「メル様このガキは」

リザは喋ったかと思うとふわふわ宙に浮きだし少年の顔の前で停止する



「猫が喋った」


「し、浮いた」

少年はあまりの出来事に手の痛みも忘れ少しのけぞりながら後ろに下がる


「あなたいちい騒がしわね」

メルはあきれた表情は続く


「いやいやいや、普通猫は喋らないし、ましてや浮いたりしないだろ」

少年は早口になる


「あなたね あなたの居た世界ではそうかもしれないけど」


「どういうことだ、ここって異世界なわけ」

おいおい記憶がないのに加えて異世界だなんて

少年は固まる


「現状を受け入れなさい」

メルのあきれた表情は止まらない



「紹介するは、この子はリザよ 普段が無口で不愛想だけどすごっく毛並みが心地いいの、もう頬ずりしたときなんて……」

メルは毛並みを触っているのを思い出しているのか頬がゆるゆるにゆるむ


「で、えーとこの人は新しい使用人………じゃ無かったわ ちょと訳があってここで働かせることにしたから」


「おいまて、いま完全に使用人っていったよね絶対言ったよね」

少年は先までの驚いていた表情を変えメルに言葉を吐く


「んん」

メルは咳払いしてから何かを思いついたかのように手をたたく

「そうだあなたの名前を考えましょう」

「さすがに名前なしじゃ私たちも困るし」



二人がリビングのテーブルを囲みリザはテーブルの上で丸くなる

「これから 奴隷……じゃなかった使用人に名前を付ける会議を始めるわ」


「さすがに奴隷はひどくないですかメルさん」

「あなたほんと騒がしいわね」


「じゃ始めるわよ!」

すんごくやる気満々だ


「まずはリザからどうぞ」


「ガキ」

リザは表情一つ変えずで吐き捨てる


「って、名前じゃないし、子ネコに言われたくないもんねー」

少年は皮肉交じりで言うもリザは無視をかます


「はーい 私 「マージ・ダサい」どうかしらマージが名前よカッコいいでしょ!」

「いやいや「マジダサい」って悪口だよね何かカッコよく区切ってるけどオレの人権も考えてくれるかな」


「じゃあ 次リザね」


「って、おいおいオレにまわって来ないのかーい」


「クソガキ」


「じゃあ私ね 「へーん・タイ」とか はい次リザ」


「はい私次リザ私リザ私………」


おいおい二人で何勝手に暴走してんだよ変な名前つけられる前に思い出さないと!

オレの人としての何かがなくなる!

腕を組み眉間にしわを寄せ懸命に考える……思い出せん



「なかなかしっくりこないわね」

真剣に悩むメル


「あなたも自分の名前なんだから真剣に考えなさい!」


「えー なぜ起こられるー」


 「じゃあ」

記憶がない名前がわからない………少し考える

「ムメイってのは」

自分で自分の名前を決める恥ずかしさ ヤバ


「はあ、」

メルは首を傾げて腐ったものを見るかのような目で見る


「どこのマンガキャラよ バカじゃないの却下!」


もう無理だ早く記憶を取り戻して帰りたい

心で嘆く


リザがおもむろに目を開けて言う

「目が青いからアオでいいんじゃないかオレはガキって呼ぶけどな」

目を閉じ眠る


メルは机に手をつき身を乗り出し少年に顔を近づけまじまじと見つめる

その綺麗翆緑色の瞳に吸い込まれそうだ


やべ顔近いしなんかいい匂いするしやっぱり美少女だ

顔が少し赤くなり思わず目をそらす


「ホントだ綺麗な青い目をしている」

つぶやくと、ふと立ち上がり何かを決めたようだ

「今日からあなたはアオよ、よろしくね」

メルはにこりと微笑み手を差し出す



少年は頭を掻き少し照れている

「まあ 変な名前 よりはいいか」


「よろしくメル」

二人は握手を交わす



「あ、そうそう あなたに私とかなければいけないものがあるは」

何かを思い出しメルはそそくさとどこかにいく


アオの顔はまだ赤いままだ

やべー何かあいつ超可愛いじゃん

性格最低だけど喋らなかったら惚れるかも

いかんいかん 早く記憶を戻して帰らなければ


メルが戻ってきた

一つの綺麗な翆緑色の小さな玉のついたペンダントをアオに手渡す


「あなたにこれを渡すわ このペンダントはどんなことがあろうとも絶対に外さないこといい」

メルの表情はいままでとがらりと変わり真剣だ


「わかった」

アオは少し戸惑いながらもペンダントを首にかける



「そうだアオ、お買い物に行きましょう、あなたの日用品もそろえなきゃだし」



「リザお留守番よろしくね」

リザは少しうなずき返事する




外は透き通るような青い空にもくもくした大きな雲が風で流れる

あたりは高原で建物がなく

メルの住むウッドな館だけがぽつりと建っている


「あの町まで買いもにくわよ」

メルは風でなびく横上を髪おさえ薄っすらと小さく見える町を指さした


そのなびく綺麗な髪の毛そしてフリルのスカート


「なによ じろじろ見てんの早くいくわよ」


「お、おう」

二人は町までの一本道を歩いて行った


アオが話を切り出す

「リザはメルの使い魔みたいなものか」

「ふふふ そんなことリザに行ったら殺されるわよ」

「リザは私のたた一人の家族なのよ」

メルは少しうつむき悲しそうだ


「なんかごめん」

メルにもいろいろ事情ががあるのだろ二人だけであの家に住んでいるみたいだし

もしかしたら両親がもういなくなってたり………アオはこれ以上の詮索を控える

「って、リザは猫だから一人じゃなくて一匹か あはは」

心配して損した気分だ

でもオレにも家族や友人はいたはず思い出せないけどきっと心配しているはずだ


「さっきの質問だけど オレが頼めば記憶を思いださせることはできるのか」

「それは無理よ」

メルの表情に嘘は見えなかった


「使用人がいなくなったらだれが掃除するの!」

メルの表情はマジだ


そっち!?


ってまあ異世界って言ってもなんでも出来る分けないか

メルの言動はつかみどころがないが嘘をついているとも思えない

しばらくは我慢するしかないか



そうこうしていると町に着く


「ようこそアルファード王国へ」

中世風の街並み、人は賑わい栄えた街並みだ屋台もたくさん並んでいる

服装はアオの来ているのとは違うのは当たり前だろうが

メルの服装とも少し異なる気がする



「さあ早く」

メルに手を引かれ町をめぐる



「あはは なにそれに合わね」この国の衣装を試着する

「おめえが選んだんだろ」


「次行くわよ」

メルのその表情はまるで飛ぶことを覚えた小鳥のように楽しそうだ


日も傾きはじめ町の賑わいも祭りのあとのようだ

「そういえばメルあのでかい建物はなんだ」

指をさすアオ

「あれはお城よ」

メルの表情はどことなく切なさが見える



「そろそろ帰ろっか」

「今日はありがとうねアオ」

メルは笑顔でお礼する


「いやオレも楽しかったし オレの日用品もそろえてくれたしありがとう」

アオは頭を掻きながら照れる

まさかメルがお礼を言うなんて思ってもみなかった


「そのぶんこき使うわ」


やっぱりか




………今日はいろんなことがあったな一日を振り返りながらこれからどうなるのだろう

という不安もあるが今日はもう寝る事にした

アオはふかふかのベットの中で眠りにつく…………



………

リビングは暗く机のランタンだけがあたりを照らす


メル様本当にいいんですかあのガキをここで働かせて

いいのよリザ 私は見守らなければならないの、あの子のこれからをあの子の運命を

……




翌朝アオは昨日買った服に着替えて部屋にある姿見鏡で服装を整えていた


「チリリン」 扉の鈴の音が家に響く


「ん 誰か来たのか」アオは一階に下りていく



一人の5歳ぐらいの白の民族衣装を着た少年が現れた

少年はキョロキョロしている


メルが少年の前に出迎える


「ようこそ願いの館へ」






























































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