超短編集:歪な物語

夕涼みに麦茶

赤い丸い

 大きい赤い熱い丸い、黒い広い、長い遅い。眩い明るい赤い丸い、近い丸い、暗い早い明るい。

 遅い赤い丸い、速い鋭い硬い近い危ない、赤い丸い速い少ない遠い、安い、赤い丸い楽しい長い遅い。

 赤い丸い熱い少ない、眠い。近い無い暗い広い、安い、赤い丸い眠い。

 永い永い、赤い丸い安い眠い、永い永い。赤い丸い明るい大きい羨ましい、丸い近い、丸い近い…多い丸い近い、赤い丸い好い。

 赤い丸い眠い、永い永い、多い丸い近い、眠い。永い永い。



☆訳☆

 太陽が暗い宇宙をどこまでもゆっくりと旅していた。眩い光を放つ太陽は、通り過ぎる星々の陰をすぐに明るくした。

 ゆっくりと進む太陽に、鋭く硬い隕石が急接近してきた。太陽はすぐに回避して、一安心、何処までも続く長い旅路をゆっくりとまた楽しむのだった。

 太陽は体の熱が下がり、眠くなる。近くにあった暗くて何も無い広い場所を陣取り、安心できることを確かめて、そのまま眠りについた。

 それからずっと、太陽はそこでぐっすりと眠り続けている、いつまでもいつまでも。眠る太陽の明るい輝きと大きな体に惹かれ、近くにいた星々が次々に太陽を好んで集まった。

 太陽はいつまでも眠り続ける。集った多くの星々と共に、いつまでもいつまでも。


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