かつて英雄とよばれた者たちへ

屋富祖 鐘

序章

 三年前、大国であるエブルハイム帝国は小国であるヴェルス王国に戦を仕掛けた。目的は領土拡大。誰の目から見てもヴェルスが蹂躙されるのは自明であった。

 しかし、緒戦を制したのはヴェルスであった。その要因は、一小隊でありながら数千というエブルハイム兵を屠った彼らの存在。

 ――敬虔なる執行者たち(ユーストファリア)。

 その目覚ましい活躍により、ヴェルスの国民は彼らを〈英雄〉と呼んだ。しかし、兵力で何倍にもヴェルスに勝るエブルハイムはじりじりと追い返し、結果として、ヴェルス王国は滅亡した。

 その後、幾人ものヴェルス軍関係者が処刑されたが、ユーストファリアの面々が捕縛されたという記録は無い。そして、その面々が今何をしていて、どこにいるのかは杳として分かっていない――。

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