一章

突然の命令



 白露が、ぽちゃんと池に落ちて弾けた。



 ここは、髙国こうこく五州ごしゅうの一つで北西に位置する白州の州都、琥璉これん

 そこから少し離れた山の奥に、その屋敷はあった。


 白い壁に茅葺きの屋根。

 都の貴族邸宅のような朱塗りの柱ではなく、木目がよく見える剥き出しの柱が、重厚な感じを与える。


 辺りは青々とした木々で覆われ、ここが人ならざるものの気――――神気が満ちる、聖域だとわかる。

 その清浄な空気は、徒人は入ることはおろか、近づくことすら畏れを抱きそうだ。



 そんな聖域に建つ屋敷の北に位置する室で向かい合う、少年と老人が、二人。

 彼らは木綿ではあるが、質の良い白い衣を纏っている。おそらく、この家の主家の人々だろう。



 二人は何やら真剣な顔つきで話をしている。

 彼らはいったい、何を話しているのだろうか?


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