家族になりたい【中国】

 大学生のCさんがまだ三歳か四歳の頃、美しい毛並みの賢い猫を飼っていた。


 ある日Cさんが一人で家にいると、後ろで衣擦れの音がした。振り返ると人間の服を着た猫がいた。猫の体には大きすぎる服を床に引きずりながら歩いてくる。


 そしてCさんの目の前に来るとこう言った。


「人間みたいに見える?」


 その夜食卓についたCさんは家族に猫の様子が変だと訴えた。するとおじいさんが「そうか、あいつももう七歳か」と呟いた。


 猫は次の日にいなくなった。


「家族みんなが今も元気だということは、きっとおじいさんが猫を殺したんでしょう」


 おじいさんは常々「猫は六歳を過ぎると人になりたがる」と言っていたそうだ。


 人になりたいと願った猫はどうするか。


 家族の誰かに成り替わるのだ。



 それからもCさん宅では猫を飼い続けているが、家に来てから六年を過ぎる頃にいなくなるのだという。



 中国南部にある貴州省での話である。

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