メインヒロインが多いのは仕様ですか? 3

【メインヒロインが多いのは仕様ですか? 3 あらすじ】


無事、異世界ダンジョンを攻略し元の世界に戻ってきた僕ら。しかし、異世界で出会ったヒロインも僕らの学校に転校して来て、いよいよ正ヒロイン争いは苛烈な状況に……。手に負えず逃げ出した僕だったが、『ヒロインひきよせ体質』のせいで、逃げ出した先でもまたもやトラブルを招いてしまって……?

羨ましいようなそうでもないようなヒロイン過剰摂取オーバードーズラブコメ・通称『メロン様』、今回登場するのはバスケ部・弓道部・軽音部の部活系ヒロインズ!?  臥薪嘗胆の第3巻!




【メインヒロインが多いのは仕様ですか? 3 試し読み】


「だから、コイツはバスケ部の助っ人なんだ!」

「違います! おにーちゃんは弓道部の救世主なんです!」

「いーや、うちのバンドのドラマーだ。譲れないね」


 ど……どうしてこうなってしまったのだろう。


 魔王、幼なじみ、生徒会長、副会長、異世界ヒロインから逃げ回って部活棟にやってきたのは良かったが、ここでもまた僕の『ヒロインひきよせ体質』が発動してしまっていた。

 ここなら誰にも見つからないと思い、部活棟の裏でひと息ついていたら、近所に住む一学年上の先輩が通りがかった。先輩は小さい頃から男勝りで(現在もボーイッシュなのだが、実はすごい美人だと僕は常々思っている)、男子である僕とも一緒になってよく公園で遊び回っていた。

 当時から先輩は球技が得意で、今はバスケ部のキャプテン。しかし、何と「バスケ部が廃部になりそうだから助けてほしい!」と言われたのだった。

 女子バスケ部だから、直接手伝えなくても、練習相手や試合のサポートならできる。何より、小さい頃から姉のように慕っている他ならぬ先輩の頼みだ。

 協力するよ、と返事しかけた時に、後ろから突然誰かに抱き付かれた。


「おにーちゃん!」


 そう言って抱き付いてきたのは、一学年下の後輩だった。彼女も近所に住んでいて、僕のことを実の兄のように慕ってくれていた。弓道部に所属していて、今も袴姿が可愛かった。

「おにーちゃん、ちょうど良かった! 相談があったのです!」

「お、おい、コイツは今、私と話してたんだぞ」

 先輩がそう言ったが、後輩は彼女の顔を見た途端、しゃーっ! と警戒するネコのような顔になった。

「せ、せ、せ、せんぱいじゃないですか!? ダメです、おにーちゃんは渡しません!」

 実はこの二人、近所ということもあって知り合い同士なのだが、昔からそりが悪く、犬猿の仲というやつだった。

「お前、そう言って小学生の時も、いつもコイツに頼ってただろ、いい加減にしろ!」

「せんぱいの方こそ、年上の癖に困ったことがあったらすーぐおにーちゃんに甘えるのやめてください!」

「おまえが言うな!」

「私は年下だからいいんです~!」

 僕をほったらかして、二人はケンカを始めてしまった。昔からこうだ。

 僕がどうしようかと思っていると、今度は上から声が降ってきた。


「うるさいなー……、練習にならないじゃないか」


 見上げると、二階の窓から、女子生徒がギターを抱えたまま、迷惑そうな顔をのぞかせていた。

 彼女は、僕と目が合うとこう言った。

「あれ? お前、こんなとこで何してんの?」

 彼女は、同い年の従姉妹だった。この学校の軽音部に所属している。幼い頃から楽器が大好きで、今はギターを弾いているようだが、ピアノも凄腕で、幼い頃からよく聴かせてもらっていた。

「いや、何してんだろうね……うん、僕もよく分からない」

「あはっ、なにそれ」

 笑った顔から八重歯がのぞき、悪戯っ子のような表情がまぶしかった。

「あ、そーだ、暇ならさー、こっち来てドラム叩いてくんない? 先週、ドラムが辞めちゃってさー」

 それを聞いた先輩と後輩が、同時に上を向いて叫んだ。


「コイツは私とバスケするの!」

「おにーちゃんは、私と今から弓道場に行くんです!」


 そして、冒頭の場面につながるのだった。

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