濃密なSFの序幕

タイトルにある通り、この作品は著者が連載中の「仮想箱」の説明書、つまり、序章的位置づけのものです。

しかし、序章とは言っても、一つのストーリーがこの作品内で完結していて(もちろん本編への広がりは持ったまま)、それが味わい深い読後感と本編へのさらなる期待をもたらしてくれます。

登場人物であるミカエルとセンセイ。
人間らしさを少しばかり過去に置いてきてしまった人間と、人間らしさを人間に教える為作られたアンドロイド。

チグハグな関係にも見える二人が、仮想箱という空想現実の世界に入った時、なにを感じ、なにを想うのか。それがこの「説明書」で語られます。

メタな語り手の存在も世界観に非常にマッチしていて、まるで読者を仮想箱の中へと誘うような、そんな魅力があります。

この作品を読み終えましたら、ぜひ本編の「仮想箱」も読んで下さい。

きっと満足できる仮想現実がそこにあります。

「仮想箱」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881092594