ボッチ、再びプレゼントを渡す

 それは一瞬のことだった。


「君の負けだね」


 耳元で囁かれたその言葉からは、先程のデリアの雰囲気とはかけ離れた、凍てつくような冷たい雰囲気が感じられた。


 首に突き付けられていた物を剣だと知覚するのに三秒を要したが、勝負に負けたという事実は、少女の勝利宣告と共に瞬時に理解できた。


 しかし、それでも何が起こったのかは理解できなかった。


 ───いや、それはそうだろう。


 模擬戦の開始を知らせる銀貨が地面に落ちた甲高い音が聞こえた瞬間、感覚十メートル程あった筈の距離が一瞬にして殺され、気付いた時にはもう、耳元で少女が不敵に笑っていたのだから。


 そして、気付いた時にはもう、首に剣が突きつけられていたのだから。



「くっ............」


 呆然と、訳の分からないまま駿は動きを止めて、自身の首に剣を突きつけているデリアの、アメジストのように紫に異様に光っている瞳を見つめた。


 その目は笑っていて、無垢な少女の瞳のはずなのに、感じてくる恐怖が体を縫い付ける。


「ふふっ」


 そんな駿を、またガラリと先程までの冷たい雰囲気を変えて、初めて会った時のようないつもの調子に戻し、嘲るようにクスリと笑った後、寸前まで突きつけていた木の直剣を首から離す。


 その時、マリオネットを操る糸が突然切れたかのように、剣が離されたと同時に、恐怖に固まっていた駿の体の自由が戻ったように肩の力を大きく抜かせているようだった。


「......さてと」


 呆けている駿を置いて、落ちた銀貨を歩いて拾いにいくデリアの背中は、何処か楽しげだ。


「......」


な......何が......


 デリアの背中を尻目に、自身の首をその指で突き付けられた場所を確かめるように触りながら、黙考する。


 ───油断はしていないつもりだった。


 決して少女に、デリアに対して舐めてかかったりはしてなかったつもりだった。


 むしろ、対戦前からデリアの無垢な瞳から、所々感じられた説明できない何かしらの恐さを警戒し、歩く仕草からも、いつでも重心が安定し、体幹を抜け目なく鍛え上げていることが垣間見えることから、相当な強者であることを予想していたのだ。


 その為の心構えもしていたし、速攻という最初に興じる一手を考えるほど冷静だった。




 だが、それさえ無駄だったかのように。


 行動に移す前に、完全に意を突かれて、しかも駿がやるはずだった速攻で、一瞬にして勝負は決してしまった。


どうやったんだ......あの距離を身体強化魔法も無しで......いや、それをやったとしても、あんなに反応できない速度を作り出すのは無理な筈だぞっ......



 心は完全に理解できない困惑とデリアへの畏怖に染まり、今でも胸がトクントクンと鼓動が聞こえる程に、早まっている。



「───ねぇ、どうだった?」


「え?」


 いつの間にか銀貨を拾っているはずだったデリアが、考え耽っている駿の間近で、質問してくるのに驚きながら、率直な感想を口にする。



「......速かった」


「......え?」


「だから速かった......」


 その言葉に、デリアは吹き出す。


「ぷっ......ふふふふふふっ!?───」


「な、何だよ......」


逆に聞くけど他に何を言えばいいんだよ!


 心のなかで愚痴を吐いていると、数十秒ほど吹き出していたデリアはやっと笑いを止めて、眦に涙を浮かばせながら言った。


「───いっ、いいや? 『速かった』って......物凄く漠然としててちょっとね?」


「は? だって本当にすって消えて、途中でなんか残像が見えたなと思ったら負け終了だろ? ......だったらもう速かったとしか言えなくなくね?」


「うん......確かにそうだねっ」


 笑顔で頷くと、デリアは「でも───」と、数秒ほど間を空けてから、自信に満ちた表情でこう言った。


「───君は強くなるよ。私やアリシアを抜かしちゃうくらいに」


「はぁ? ......別に嫌味なら慣れてるから俺は別に気にしないけど、他の負けた相手にそんなこと言うんじゃないぞ?」


「あれ? 嫌味じゃないんだけどな......私は真面目だよ。一個人として言ってるし、一剣士として見ても君は本当に強くなると思ったから言ったんだ」


「......」


 ジッと真剣に見つめてきたデリアに、逸らすことはせず、その言葉の真偽を確かめるように見つめ返し


「......分かったよ。まぁ俺よりも主人公の優真の方が強くなると思うけどな」


 とりあえずは信用することにした。


「へぇ......君よりも強いユウマっていう子が居るんだね。今度、模擬戦してみようかな? 本気で」


「あっ......」


おいおい......俺もしかして優真にめっちゃ悪いことしたんじゃねえかっ!? こいつの本気って相当ヤバイだろうから、模擬戦が終わる頃には優真がボロ雑巾になってるな......じゃなくて、前言撤回しないと......


「あ、いやっ......やっぱり俺の方が強いかな......うん! 俺TUEEEEEEEEっ!」


 友人に自分の起こした火種が降りかからないように、過剰な自慢を叫ぶ駿に「ふ~ん......?」と、含みのあるような笑みを溢すデリア。


「じゃあこれからも......君に模擬戦を付き合ってもらおうかな?」


「はっ?」


ちょっと待て......これからもって言いやがったかこのロリっ!?


「だって君強いんでしょ? 俺TUEEEEEEEEなんでしょ? ならいつでも強者歓迎な私とこれからも模擬戦しても良くない?」


「......はぁ!? いやいやっ、ムリムリムリっ! てか暇じゃないんだよ! 実戦訓練が明日の休日が終わったら一ヶ月もあるし!」


「あ、じゃあやっぱり君の次に強いユウマっていう子に相手してもらおうかな?」


「い、いや! それは......事情があるっていうかなんというか───「じゃあ君で良いじゃん」───ムリ! っていうか話聞いてたか? 俺は暇じゃないの! だから模擬戦をする余裕が無い訳で───「そうなると......ユウマって子に付き合ってもらうけど良いかな?」───くっ......」


 怒濤な言葉被せで攻めてくるため、思わず言いごもってしまい、数秒ほど言い返さなくなった駿を見て、肯定したと勝手に解釈したデリアは、微笑みながらこう言ってきた。


「じゃあこれから毎週の金星の日の夜のこの場所で、私待ってるから。そのときは楽しい模擬戦にしよっ?」


「ちょっ......誰もやるとは言ってないぞ!」


 そう叫喚を上げるも、目にくれず側に置いてあったデリアは背負っていた自身の二本の長剣を拾い上げた。


「ふふっ......まぁ、今日は付き合わせてごめんね。おやすみなさい。弟子君」


 瞬間、氷の霧が少女の足元から現れ、辺りの状況がわからないぐらいに視界を白く染め上げる。


「お、おい!」

 

 段々と視界を遮っていた氷の白い霧が晴れてくるなか、デリアがいた方向に手を伸ばして呼び掛けた駿。





「......ちっ」


 




 しかし、そう呼んだその時にはもう黒髪紫眼の少女は居なかった。


「くっそ......してやられた......」


あのロリ野郎......可愛いくせに強いのは反則だろが!


 終始、同い年とはいえ、見た目が完全に年下の少女にリードされていたことに腹を立てながら、空を仰ぎ見ると、綺麗な星空が広がっていた。


 肌寒い風が、一人残された前庭を通り抜けていくなか、改めて星空を見て実感する自分のちっぽけさ。


 月明かりが照らす世界から見上げた空は何処までも広く、また自分を星だと見立てた時、空から見下ろす世界はとても広いだろうと駿はふと思った。


 まだ知らぬ世界は、一体どんなものなのか。


 それを見るためには、自らの足を運び、旅をする必要がある。


 そして、辿り着くためには、強くなる必要がある。


 平和な地球とは違い、この世界は魔族と不特定多数の恩恵を悪事に使う者達が幾億も居るこの世界を旅することは、そういうことなのだ。


「はぁああ......」


 大きな欠伸をして、疲れきった体を早く休ませたい駿は、仰いでいた視線を戻し、自室へと戻り始める。










(本当に眠そうだね。うーん......悪いことしちゃったかな)


 そんな姿を、小言で悪びれるように言って、消えたフリして影からこっそりと見ていたデリアは駿のある言葉を思い返していた。


 模擬戦の感想を聞いたときに言った駿の一言『速かった』という言葉。


 デリアはその言葉を聞いたとき、内心凄く驚いていたのだ。


(殆どの人は消えたとか見えなかったって言う筈なのに......)


 これまで対戦してきた大抵の相手に最初に言われる言葉は、『消えた』という感想だった。


 高レベルの相手にさえそう言われる始末だったのだが、まさかレベル4という低レベルの者から『速かった』と言われるとは思わなかった。


 あの速さの秘密は、能力値(ステータス)の敏捷だ。


 スキルも魔法も使ってない、今ある自分自身の力だけで、あの誰もが消えると錯覚するほどの速さを実現させているのだ。


 しかし、駿は少し残像が見えたと言っていた。


 今まで対戦してきた大抵の人が『消えた』と言うなかで。


「......成程ね」


 戻っていく駿の背中を見ながら、微笑を浮かべる。


目が相当良いんだね......君は


 久し振りに逸材を見つけたためか、気分が高揚してきてるようだ。


「......これからの君との模擬戦はワクワクする一方だよ」


 ───そんな心なしか、期待に溢れて弾ませたデリアの声に、背中の二振りの長剣が応えるように妙に揺れていた。


= = = = = =


..................


............


......




 とある国の城の薄暗い一室で二人の男女が対話していた。


 互いに無表情ながらも、雰囲気から見るに重い空気ではなさそうだ。


「───無事、計32人の召喚することができました。お父様」


 金の刺繍が多用されている白い法衣を身に纏い、シルバーブロンドの特徴的なショートボブの髪型をした美しい少女から、目の前で悠然と椅子に座っている男に、そう切り出す。


「そうか」


 少女からの言葉に、男は口角を僅かに吊り上げる。


「はい。男が16人、女が15人で、こちらでは見たことがない服を来ていたことから、異世界人かと」


「......よし。これで我がイマル帝国にもグランベル王国と同等以上の戦力が手に入った訳だ」


 蝋燭の火が揺れ、不気味な笑みを浮かべる男の顔を薄く照らす。


「転移者達を最初に召喚したことについて、グランベル王国が世界へ発信した文によれば、あくまで『魔王軍』に対抗するための一つの手段とのことです」


「では自分達もグランベル王国と同じように、大々的にそう打ち上げよう。決して戦争の道具としては使わないとな?」


「承知致しました。情報屋には、そう各国でそのことを広めておくように伝えておきます」


「うむ。召喚ご苦労だったな、フローゼ。自室にて次の命令があるまで休んでおくように」


「はい、失礼します。お父様」


 恭(うやうや)しく一礼をしてから、フローゼと呼ばれた少女は踵を返して、部屋を後にするため、ドアノブに手をかける。


「────あぁ......そういえばだが、どうだ? あの召喚した転移者達の中で期待できそうな者は居たのか?」


「......そうですね」


 ドアノブから手を離し、再び男へ向き直ったフローゼははっきりとした口調で語った。


「今はまだ未熟です。ですが......晩成すれば、世界で頂点に近い実力者になり得ると、一目見たとき、不意に思ってしまったのが一人居ました」


「ほう? して、その者の名前は?」


 そう聞かれ、少し間を置いてから、フローゼは答える。






「───ミユ・コンドウと申します。女ですが、確かなものを持ってました」



= = = = = =




「んんぅ......」


 翌朝の王城。駿が目覚めたのは10時頃だった。


 一日中散策を続け二人と戦闘した後、食堂ではしゃいで、糞が付くほど疲れていて寝ようとしたとき、挙げ句には突然現れたアリシアの友達だと言った黒髪紫眼の美少女に絡まれて、模擬戦を申し込まれ、結局してまったりしたが、まさか一瞬にして負けてしまったという昨日のハードな日程で、つい10時頃まで寝て過ごしてしまうほど疲れていたのだろう。


 ベットから重い身を引き起こして、首や肩をポキポキと鳴らし、背伸びする。


「おっとっ......!?」


 その瞬間、疲れがどっと来たかのように、ダルくなった体。


 力が抜けて、バランスを崩してしまった。


「......いてて」


朝からケツにもろに痛みがくるとは思わなかったぜ...... 


 盛大に尻餅を着いて、尾てい骨ら辺にビビッとした痛みが来るなか、擦りながらゆっくりと立ち上がり、再びベットに座った。


さてと、確か今日は16時くらいに学園にルリアさんの試合を見に行くんだっけか?


 と、誘われた時を思い出しながら、今日のプランを考える。


「16時に学園だからそれまで結構時間があるな。行くとしても15時半だから......それまで時間を潰せる所は......」


 そう考えたときに、いくつかの候補が浮かんできた。 


無難に優真誘ってまた遊びに出掛けるか......?


「うーん......」


 そこから暫く考えた結果


「いや、駄目だな」


 と、却下する。


男同士でデートみたいな感じだからムリだわ......楽しいだろうけど、ちょっと誤解されるのもなぁ......


「他にあるとすれば......やっぱり固有スキルの解明かな?」


何となく【状態異常倍加】の効果は分かってきたけど、全貌は明らかになってないからな。これから強くなるにはこのスキルが必要不可欠だから、出来るだけ早い内にマスターしておきたい......


「それか......伽凛さんと一緒に......」


花屋さんとか雑貨店とかとにかく色んな店を二人で歩き回わってみたい......


 伽凛のことを考えるだけで、少し高揚してしまう駿の心と、僅かに赤く染めてしまう正直な駿の体はもはや、伽凛病という不治の病にかかってしまってるかのようだ。



「───あ、そういえば」


ユカにプレゼントを、昨日渡しそびれてたな......


「ユカ、おはよう」


 そうユカをイメージしながら言った言葉に、ユカは応える。



”───マスター、おはようございます。今日は随分と寝過ごしてましたね”


「あー......まぁな。色々あって疲れてたんだよ」


くそ野郎共をぶちのめしたこととか、主に眠たいのに模擬戦に付き合わされたこととか......そう、ロリ。お前のことだよ!


「しかも事実、昨日も一昨日にも派手に戦闘してるから、結構負担がかかってたんじゃないか? 体に」


”そうですね。疲労してると、魔法を行使するときのMP消費量が少なからず増えることになりますので、気を付けてください。充分な休養を取ることも、強者への近道になります”


「へぇ......初耳なんですけどそれ。流石ユカパイセンだな......」


”......気になっていたんですが、その名前の後に『パイセン』を付けるのはどういうことでしょうか?”


「ん? 深い意味はないぞ? 愛称だよ愛称」


”愛称......二つ名と同じようなものでしょうか。それなら昔から周囲の精霊達から既に呼ばれている私の愛称がございます”


「ほほう......それは是非とも聞いてみたい。ユカならきっと威厳がある愛称が───」


”───『チビ』......でございます”


「......へ?」


 思わず聞き返すも、少し声を上擦らせて


”で、ですからっ......『チビ』でございます”


 改めてユカは、そう言った。


「..................あ、ふ、ふーんそうか......」


何だこのどう反応していいか困るような愛称は......


「あー、その......もしかして、気にしてたりする?」


”いえ。気にしてたりしません。周りに豊満な女性が多く居るなかで、唯一子供体型なだけです。気にしてる訳がありません。えぇ、気にしてませんとも......”


 即答だったが、ユカにしては言葉数が少し多いため、通常ではないことが垣間見える。


「そうか。うん、もういいぞ」


 そこから、凄く気にしてるのを理解できた駿は、そこで制止をかける。


ヤバイよぉ......これ完全に気にしてるよぉ......過去掘り返しちゃったよぉ......まさか愛称の話からユカのコンプレックスの話になるなんて思いもしなかったよぉ......


 完全に地雷を踏んでしまったが、ここは気を取り直して、話題転換をする。後が怖いのだ。


「ユカ、すまないが、ちょっと実体化してくれないか?」


”......何ですかマスター。実体化した私の体をどういう風に見るのかは分かりませんが、まさかとは思いますが、『チビ』という愛称が本当かどうか改めて見て判断する遊戯をするつもりなんでしょうか? そうなんですか? そうなんですね? まぁ、別に止めはしませんけど。マスターの命令は絶対ですので、止めはしませんけど”


「うん。ごめん。本当にごめん......」


あぁ......地雷をまた踏んでしまったぞ......


 この際、もう謝るしか方法がない。


 そんなこんなで、ユカは小さな頬を膨らませながらだが、目の前に少女となって出てきてくれた。


「......」


やっぱり、すげえ可愛いな......


 腰まで伸びた処女雪のように真っ白できらびやかな長髪に、ルビーのような透き通り、大きい紅い瞳。全ての顔のパーツが人形のように完璧に均等な端整な顔立ちながらも、作られたような不自然さは一切感じられない健康的な肌の質感。背は小さく、おおよそ150前半で十四才の少女に見えるが、実年齢は相当長いものの、10人が振り返るほどの美しさを兼ね備えていた。


 ボーッと見とれていると、ユカは無表情から少し眉を寄せて怪訝な表情をした。


「何でしょうか、マスター。やはり私は『チビ』という愛称に見合いましたでしょうか?」


 と、怒気で威圧がどんどん増していくユカに畏怖しながら、首を横に振った。


「いいや、やっぱり改めて見ると凄い綺麗だなってな。というかあんまり気にすんなよ。ユカはユカじゃねぇか。その事実はこれからも一切合切変わりはしないんだからさ」


 そう微笑むと、ユカは少し瞠目させてから、僅かに視線を下げた。


「......申し訳ありません。少し心が荒立ってしまいました......」


 素直に謝ってきたユカを微笑ましく思いながら


「良いんだよ。俺も同じようなことしたから分かるってだけだ」


 と、言いながら、ユカの首に両手回す。


「......っ!?」


 突然のことに、ユカは困惑し、らしくないほどに頬を染める。


 しかし、直ぐに駿が何故こんなことをしてるのか理解できた。


「───よし」


 そう言って、ゆっくりと首の後ろから手を退けて、駿はユカをジッと眺め始め、「おお......似合ってるな」と、はにかんだ。


 その言葉に首を傾げて、鏡の方に向かうと、いつの間にか、自身の首には立派なルビーのような赤い宝石が埋め込まれた首飾りがぶら下がっていた。


「......!」


 ぎこちなく、その首飾りに触れながら、鏡を見つめ続ける。


「これ、は......」


 普段のユカとは明らかに反応が違うことに、満足しながら説明し始める。


「それはギルザ紅石っていうただの赤色の石をひたすら研磨した、宝石擬(もど)きの首飾りとか装飾店のおっさんドヤ顔で語ってたぞ。値段も良い値だったし、お前のその赤い宝石みたいな目に合ってると思って買ってきたんだが......どうだ? 気に入ったか?」


 「あ、ルビーじゃないのは勘弁な? あれクソ高いし」と、苦笑して言い加えた駿に、ゆっくりと振り返りながら、ユカは大輪の花のような笑顔を浮かべるのだった。




「───ありがとうございますっ......マスター」 


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