唯一無二のメタル文学

自分のようなメタラーからすれば、まずタイトルで一本釣りだったのですが……とても素晴らしかった。
メタル魂を活字にするがごとく、熱く激しく、痛みと苦しみに満ちた世界に抗い続ける鋼鉄の精神が描かれています。
そして、この物語のもう一つの中核をなすのが、深い兄妹の絆。兄は妹に無償の愛情を注ぎ、心に深い傷を負った妹を癒していきます。そして音楽を通じて、二人で過去の痛みに向き合い、乗り越えていく。その様は力強くも悲哀に満ちたメロデスそのもので、まるでArch EnemyのWar Eternalを聴いた時のように熱いものが込み上げてきます。
デスメタルを文学的に解釈したとも言える意欲作です。

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BLOOD STAIN CHILD