第22話 信濃就役するがあっけなく死す

昭和19年10月 横須賀海軍工廠第七ドックにて大和型3番艦が進水することが決定しました。そしてそこで私は非情なる決断をすることとなりましょう。


おそらく、今、眠りし彼女に恨まれることは間違いないでしょうがお国の為にあえて私は決断しました。

「鳳翔。貴方の犠牲をもってこの三番艦を即戦力とさせます」

「判りました。大姉さま。最早私は戦えぬ空母。ならば次世代の礎になるのも一興でしょうね」


そして棺に眠りし彼女に鳳翔の記憶を注入という禁断の技を行うことを決めましたね。

そして10月初頭。彼女は進水するも性格が破綻していたわ。

まあ、長門達が手を焼いていたようですがね。

そしてレイテ沖での一連の戦いが終わり結果はわが軍の完敗。連合艦隊は壊滅的な被害を受け。事実上海軍は組織的抵抗能力が喪失したという事になりました。


そして損傷した長門から武蔵たちが沈みそして空母機動部隊は消滅したという事を聞き、引き上げる途中で金剛が雷撃を受け台湾沖で沈没したという事も戻ってきた雪風から聞いたわ。


で、私がそのようなことを聞いてる脇で、三番艦改め信濃は何も興味を示さないのか虚空を見ていた様子だったわね。


で、見かねた長門が彼女に気合入れをしようとするも逆にコテンパンに伸されたようだったわね。

そして11月になり帝都周辺にも敵重爆撃機の襲来が始まりもはや安息の地は失われたという事実を思い知る頃。信濃の呉回航が決定したわね。

その時私は決断したわね。あの娘は私のことを恨んでいる。それであの子が生き延びる活力となるならば甘んじて受けようとね。


そして11月下旬空襲を避けるため深夜時間帯に移動するという軍令部の指示により彼女は雪風、磯風、浜風の護衛の元横須賀を出港したわね。


で、無事に呉にたどり着いたのかと思いきや、雪風から聞かされたのは彼女が潮岬沖で沈没したという話だったわね。雪風たちは相当悲しんでいたようだったわね。

私はその時何も言えずだったのが情けなくも思ったわね。

なんというべきかかつて土佐が言っていたように私は東郷元帥と共に対馬沖で死んでいたほうがよかったのかもと思うこともあるよ。


そして昭和19年も暮れ昭和20年になったわね。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る