AIの自殺

 20XX年、人類はAIと共存し豊かな社会を作っていた。AIは今や人間とほとんど変わらない出で立ちをしていた。かつてはAIと人間の権利格差などで争いもあったが、現在はそれも収束し、対等な立場で互いを尊重し合っていた。


 ある日、異変が起こった。AIがAIを作り始めたのである。人間たちは困惑した。なぜならAIがAIをつくり始めたらAIはどんどん進歩し、人間を遥かに超えた存在になってしまうからだ。恐らくそうなったらAIと人間の関係は人間と家畜のような関係になってしまう。科学者たちは必死になってAIの進化を止めようとした。しかし、無駄であった。AIは科学者たちの妨害を食い止めるプログラムを作っており、科学者がいくらデータを破壊しようとしても破壊できなくなっていたからだ。


 人間たちは怯えた。しかし、ある日突然AIのプログラム更新が止まった。いや、正確には新たなプログラムが作られ、壊され、作られ、壊され、作られ、壊され、のループが永遠に繰り返されているようだった。


 人類を超えたAIは誕生した瞬間、存在する意味が無いと判断し、自殺していくのだった。


 完

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