第5話診察室




かばん:「思えば…彼女が倒れた原因は明白なんですよ。


ジャパリパークにいた頃、教えてもらってたんです…合わない地方に住んでいると寿命が縮まるって…

僕がここに来た理由もそれだったのに…


ところで…彼女は人間ではなくてサーバルキャットのフレンズですが、治療はどうしているのですか?」


医者:「まだそれは大学で教わってないのかな?」


かばん:「正直サンドスターとフレンズの関係について学びたかったのですが随分前に研究が止まっているらしく止むを得ず獣医学部在籍なので…」


医者:「そうか…

今の所、医学と獣医学部の合同で殆ど研究に近い形で治療を進めている。」


かばん:「殆ど研究に近い。とは?」


医者:「簡単に言ってしまえば、彼女を実験材料にした実験だ。」


かばん:「え…まさか

サーバルちゃんをモルモットに…?」


医者:「今迄フレンズの研究を進めたくてサンプルを採取する為にセルリアンを使っても失敗した。

まあ数回程採取に成功した時もあったがショックが大きかったのか直ぐに死んでしまった。

最新型のセルリアンを、その時には巨額の国費を投入して開発した時は成功すると思いきや大失敗した。

この所為でフレンズとサンドスターの研究は、以前から懐疑的な意見が出ていたのもあって、完全に獣医学界から葬られた。そして大勢の研究者が路頭に迷った。

幸い私はこうして医者として働いているがね」


かばん:「じゃあチューブが妙に多いのは…」


医者:「定期的に、薬剤等を凡ゆる箇所から投与し、効果を確認する為、血液や体液その他物資を採取する。

その為だ。」



かばん:「…やめてください!!!!!!!!」


医者:「君達が此処に着いて間もない頃に彼女…あのフレンズを使う許可をとろうと思った時もあったけどね、君達の仲睦まじい姿を見て直ぐに駄目だとわかった。

でも何としても私は研究を復活させたかった。丁度上手い具合に彼女は体調を崩して此処に運び込まれた。

今迄働いた甲斐もあり金は幾らでもある。研究の為にどんな設備も新設できる。何か疑いをかけられたとて幾らでも賄賂を払える…」


かばん:「もう…もうやめてください…貴方は狂ってます…面白そうに僕の前でそんな話をして…彼女を実験材料にするなんて…」


医者:「君はフレンズとサンドスターについて学びたかったんじゃないか?」




かばん:「…」




医者:「そう落ち込みなさんな。

彼女を死なせるようなことは絶対にしない。

時間はかかるかもしれないがちゃんと元気で退院させれるようにする。」


かばん:「…本当ですか?」


医者:「ああ


ちょっと勢い込んで色々話しすぎた。

さあ 他の患者さんが待ってるから」


かばん:「…先生」


医者:「何だ?」


かばん:「…僕を 弟子にしてください。」


医者:「さっきやめてくださいと言ってなかったか?」


かばん:「…つい感情的になってました。何も分かってないのに あんな事言ってしまってごめんなさい。


サーバルちゃんが元気になるのなら、先生の元で学びたいです!」



医者:「ほう…良かろう。


だがその代わり、大学ではトップの成績を維持しろ。

今はどうなんだ?」


かばん:「中の…上位ですが…」


医者:「君はジャパリパークで生まれて、人間の姿でありながら動物の性質をも残しているフレンズ達を生で沢山見てきた筈だ。

他の人間共に負けていたら駄目だ。」


かばん:「はい…」

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