第8話 キマちゃんとおままごと

7話で触れたおままごとについて話をしよう。


女の子の遊びの定番!と言えば「おままごと」

私が子供の時は「お母さんごっこ」と。

今では「家族ごっこ」なんて言うらしいですね。


キマちゃんと私のおままごとのベースは姉妹。

両親はいない設定。

それが貧乏な姉妹になったり、お姫様になったり。。

姉と妹は90%の高確率でキマちゃんが姉役。

まぁそもそも決定権がキマちゃんにあるから仕方ない。


キマちゃんと二人のおままごとはそれなりに

仕事をもらえていたから楽しかった。


木の実を集めたり

大きい葉っぱを探したり

水を汲んできたり

花を摘んできたり…


その材料を使って料理を作るのはキマちゃんで

私は眺めるだけだったがそれでも「参加」している感があった。


大型おままごとではそうもいかない。

前話でも書いたが

私の基本ポジションは「犬」。


させてもらえることは

吠える(わんわん!ってね)

掘る(意味もなくね)

散歩(首に本当に紐巻かれてね)


番犬設定のため、部屋にも入れてもらえない。


不遇な扱い。


そうして植え付けられていく、幼馴染達の中での上下関係。


姉と私はそれが当たり前だったのに…


キマちゃんはミオちゃんに言われて

双子の犬役(私とセット扱い)を割り当てられたときの話。


キマちゃんは泣き出し全速力で帰宅。

さぁ始めよう!としていた全員の空気が凍る。


年上達は「放っておこう」(めんどくさい)


同い年・年下は「迎えに行こう」(後日が怖い)


こうなると判断は自然とミオちゃんに託すことになる。

ミオちゃんは即決。


「始めとくから、みおちゃんはきまこ呼んできてあげてー。」

(遊びたいのに!放っておいて後でママに怒られるの嫌やから

 さっさとアンタが連れ戻して来い。)


これを断れる心の強さを持ち合わせていれば

私は今頃「幼馴染のキマちゃん」なんか書いていない。


大人しくキマちゃんを呼びに行く私。

後ろではスタートしたおままごとがいつもより楽しそうに聞こえる。

みんなで遊んでいる広場はマンションの敷地内。

キマちゃんの家まではあっという間に着く。

ベルを背伸びで鳴らす。


キマちゃんママ登場。


威圧感。


家に上げてもらいキマちゃんの元へ。

部屋の隅で拗ねて小さくなっているキマちゃんの背中は

蹴ってくださいと言わんばかり。

衝動をグッと堪えて


「キマちゃん!下(広場)に戻ろーやー?」


「嫌。」


「ミオちゃん待ってるでー?」


「嫌。」


わかってはいたが手ごわい。

でも連れ戻さないと今度は私の立場が悪くなる。

これ以上悪くなることはないかもしれないが。。

それでも何としてでもとりあえず広場には

戻ってもらわないと…


「んなら下でおままごとせんと縄跳びとかしよーやー!」


「キマちゃん縄跳び嫌い。ゲームしたい。」


「ゲームわたしできひんしさ!」


「みおちゃんは見てたらいいやん。」


「…」


ゲーム機の用意を始めようとするキマちゃん。

焦る私。


「下でめっちゃでっかい絵描かん??

 7階(キマちゃんの家)から見えるくらいの!!」


キマちゃんはお絵かきが大好き。

幼馴染だからこそ知っているポイントで攻める。


「絵描ける石私が探すからさ!」






キマちゃんは広場に戻った。

ミオちゃんはキマちゃんがまだママにチクっていなかったので

それで満足な様子。

私達はおままごとには復帰せず、二人で仲良くコンクリートに

大きな大きな絵を描いた。夢中になって。




そしてその日の夕方。

見回りに来た管理人さんに怒られた。





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