24回目:瑚崎真彦<キミの望む世界>

 本日の異世界転生者の方、お名前をどうぞ。


「あ、はい。俺、瑚崎こさき真彦まさひこっていいます」


 はい、ありがとうございます。私は、あなたの異世界転生をサポートする女神、フルーフ・ツァイトイフェルです。


「あ、よろしくお願いします。女神様、めちゃくちゃ綺麗ですね」


 はい、そうですね。それでは、異世界転生について簡単に説明します。


「あ、それならわかりますよ、俺。なんか女神様からすごい力とかもらって、異世界の女の子にモテモテになるやつですよね」


 ……はい、私からは女神の祝福と呼ばれる加護を授けます。その内容は様々です。まず、異世界の人々と意思疎通を取るために言語能力は必須ですね。それから、魔物と戦えるように身体能力の向上や魔術を扱う技術、他には聖剣などの武器を授けることも可能です。


「あ、魔術は俺も使ってみたいです。女の子を自由自在に操ったり、好みの女の子を創造したり、あ、俺自身が女の子になってみるのもありですかね」


 ……はい、真彦まさひこさんには転生先の世界で魔王フェンデンベルフを倒していただきます。魔王フェンデンベルフには凶魔四天衆と呼ばれる手強い部下がいますので、あなたも仲間を集めて立ち向かってください。


「あ、仲間との出会いはサポート対象に入りますか? できれば、美人で胸の大きい騎士と、世間知らずでちょろいお嬢様的な僧侶と、デレ度の高い魔術士が希望なんですけど」


 ……はい、……ああ、いつも異世界の救済が上手くいかないのは説明なしで転生者を異世界に送っているからだと思って、だから、こうして転生前に優しく説明してあげようと思ったのに、なんなのこいつ女の子にモテモテの異世界生活がしたいだけなんじゃないのそんな都合のいい世界なんてあるわけないんだけど授けられる女神の祝福にだって限度があるしそれをハーレム能力に注ぎ込むなんてもったいないというかそれじゃ魔王を倒せないじゃないやっぱり強制的に転生させておけばよかった。


「あ、もちろん、俺自身はチート能力満載でお願いしますね。魔王なんて一撃で倒せちゃうようなやつとか」


 うん、そうだね。そういうの、あればいいよね。


「あ、そうだ。どうせならフルーフさんも一緒に来てほしいです。フルーフさん綺麗だし、女神様だから頼りになりそうだし、あ、胸がないのは少し残念ですけどね」


 は? 胸がないって? そんなわけない。ちゃんとあるし。……少しだけど。


「あ、フルーフさん、なんか怒ってます? 大丈夫ですよ、俺、胸が小さくてもいけますから。あ、揉むと大きくなるっていいますし、俺が大きくしてあげましょうか」


 ……はい、それでは説明は以上です。それでは真彦まさひこさん、これから素晴らしい異世界へ送り届けますので、覚悟してくださいね。


「あ、待って。実は、もうひとつお願いがあって、俺をイケメンにしておおおおおぉぉぉぉおぉおぉぉぉぉ……」


 異世界転生術を展開しました。これから女神の祝福を授けていきます。


 私が真彦まさひこに授ける能力は、言語能力、異性を強く惹きつける能力、魔王相手でもジャンケンで負けない能力、それと、美形にして、えっと、胸筋の発達した男騎士とお嬢様言葉を話す男僧侶とデレッデレの男魔術士との出会いイベントが発生するように運命づけて、あとは、女の子になりたいだっけ、……うん、それじゃあ種族は雌豚メスのオークで、っと。


 はい、これで転生完了です。クソ素晴らしい異世界ライフをお楽しんでください~。



 はあ……。


 ……私、……胸、あるもん。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る