僕の日常
僕は、透明な箱の住人。今日もまた、退屈な一日が始まる。
朝、目が覚める。とりあえず、歯を磨く。マスクをつけた人が部屋のドアについた小窓からご飯の乗ったトレーを入れる。ご飯を食べる。食べ終わったらまた、小窓に入れる。マスクの人が何処かへ持っていく。
今日は一体何月何日だろう。今日の天気は? そんなものは知らない。何もすることが無い……寝よう。
昼。目が覚める。朝と同じようにご飯を食べる。歯を磨く。何もすることが無い。寝よう。
夜。目が覚める。昼と同じようにご飯を食べる。食べ終わったら、歯を磨く。風呂に入って寝る。
いつもと同じ毎日が、いつもと同じ速度で過ぎていく。ただひたすらに、単調に。僕の一日の殆どは睡眠でによって占められている。そんな生活をして、十年ほど。
生活に必要最低限のものと、沢山の機械があるこの部屋で、僕は毎日を寝て過ごす。僕の食事を運んで来るマスクの人。それ以外の人との接点は全くない。
毎日、毎日、規則正しく鳴る電子音。その音を聞くと何故か安心する。自分が生きていることを実感する。だけど、僕はその音の意味を知らない。知りたくはない。規則正しく鳴る音が、その規則性を失った時、僕の体は一体どうなってしまうのか……。
真っ白で、無機質で、人形のような僕が暮らしている、透明な箱。その箱に色を付けたのは、隣に越してきた君だった。
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