つくりかた兼人録

九里方 兼人

簡単に文章がうまく見えるコツ

簡単に文章がうまく見えるコツ

 簡単に、というだけあってあくまで個人的な根拠に基づくものです。


 〇〇〇〇〇〇〇〇する。

 〇〇〇〇〇〇〇〇する。

 〇〇〇〇〇〇〇〇する。

 〇〇〇〇〇〇〇〇する。


 事象を淡々と記述した表現。


 これを、


 〇〇〇〇〇〇〇〇する。

 〇〇〇〇〇〇〇〇した。

 〇〇〇〇〇〇〇〇する。

 〇〇〇〇〇〇〇〇した。


 と現在形、過去形を交互に並べるだけで格段に読みやすくなります。


 あくまで「見える」だけでうまい文章になったわけではありません。

 (もちろん同じ表現を続ける必要がある場合はその限りではありません)



 科学的根拠の一つは、人間は同じ作業を長時間続けると、頭がぼんやりとしてきますね。


 これは脳内でエンドルフィンが分泌されているからです。快感物質の一つ。


 なぜ快感物質が分泌されるかと言えば、単純作業が脳にとって苦痛だからです。

 (なかにはそれがよい、という人もいますが)




 端的に交互にするだけだとワンパターンなので(それでも単純作業という枠からは確実に外れます)、もう少し分解してみると、時間軸が違います。


 現在形

 過去形

 現在形

 過去形

 現在形

 過去形


 と交互に続いていますが、時間そのものが進んでいるタイミングはと言えば、


 現在形

 過去形

--------------------------------------------

 現在形

 過去形

--------------------------------------------

 現在形

 過去形


 となりますね。過去形で示すのは過去なので、一行上の時間に対しての補足と言えるわけです(あくまでそう言えるというだけです)。



 これが端的な文章だと、


 現在形

 現在形

 現在形

 現在形

 現在形

 現在形


 ↓


 現在形

--------------------------------------------

 現在形

--------------------------------------------

 現在形

--------------------------------------------

 現在形

--------------------------------------------

 現在形

--------------------------------------------

 現在形


 こうなるわけですね。


 これだと読む人が無意識に「時間を進める」という作業が増えるわけです。


 この無意識の作業を減らす事で、読む人の負担を掘らし、結果読みやすいように感じさせる。


 というのがこの手法の狙いです。


 もう少し現実的に分けるのならば、本来なら長い一つの文章だった物を、二つに分ける。その時にどちらの方が主体かを見て、「する」「した」と分ける。


 そういう風に分けるともう少し考えられた文章、と言えるのではないでしょうか。


 技法的には重なる表現を減らすのと同じものですが、こういう風に考えるとより使いやすいのではないかと思います。

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