誕生日を命日に。

露草

第1話 陽菜の希死念慮

「ねぇ、誕生日を命日にって、良くない?」

陽菜は突然に口走った。

高校から帰る途中、夕日がふたりを照らしていた時だった。

「は?何いってんの、陽菜。」

ついに馬鹿になったのか、と千夏は案じた。

「だってさ、普通誕生日と命日って違うでしょ?だからそれを一緒にするってこと。 」

「…てことはさ、陽菜はそうしたいの?一緒にするってなかなかない事なのに、どうするのよ」

千夏は呆れながら聞いた。

「自殺するの。」

陽菜は至って普通に、そう言った。

「…え?」

千夏は時間が止まったように感じた。

自分の親友が、自殺すると言っている。有り得ないら冗談だろう…しかし陽菜は真面目な表情を浮かべている。

「陽菜、あんた自殺願望でもあるの?そんなに死にたいの?」

千夏の必死な問いかけに、陽菜は何も答えず、ふふっと微笑んだ。

千夏は疑問を残したまま、その日を終えた。

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